Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度の計画に基づき、分子生理学的研究として倒伏抵抗性QTL(pr15)の遺伝子特定に向けたpr15染色体領域の矮小化、環境応答研究として直播栽培条件及び落水時期がpr15の作用に与える影響の解析を行った。日本晴の遺伝的背景にpr15を有する系統NIL63に日本晴をバッククロスした後代系統(BC1F2)1700個体について一塩基多型(SNPs)マーカーを利用して44個体を選抜し、圃場に移植した。選抜個体における遺伝型情報と下位部押し倒し抵抗値の結果から、QTL解析ソフトQgeneを用いてpr15染色体領域の矮小化を行った。検出したQTLの対数オッズ比のピークから、pr15の領域を約0.3Mbpまで絞り込むことができた。コシヒカリの遺伝的背景にpr15を有する系統CSSLpr15とコシヒカリを直播栽培し、倒伏抵抗性、葉身の老化特性、並びに下位部茎の炭水化物再蓄積特性を比較した。直播栽培条件においてコシヒカリは倒伏が確認されたがCSSLpr15は倒伏しなかった。両系統の葉身のクロロフィル含量及び下位部茎の非構造性炭水化物含量を比較すると、CSSLpr15はコシヒカリよりも止葉より下位に位置する葉身の老化が遅く、さらに下位茎への炭水化物再蓄積も高かった。出穂以降の落水時期を出穂後、出穂から2週間後、出穂から4週間後とし、CSSLpr15とコシヒカリの倒伏抵抗性、葉身の老化特性、並びに下位部茎の炭水化物再蓄積特性を比較した。早期落水条件においてCSSLpr15はコシヒカリよりも下位部押し倒し抵抗が高かった。出穂から4週間後の落水条件ではコシヒカリの下位部押し倒し抵抗が他の条件下よりも高くなり、CSSLpr15と同等になった。葉身の老化特性において出穂期以外の落水条件ではCSSLpr15の老化遅延が確認された。下位部茎の乾物重を炭水化物再蓄積の指標として両系統を比較すると出穂期から2週間後以外の落水条件ではCSSLpr15の乾物重増加が確認された。本年度の結果からpr15は直播栽培条件下及び出穂後の早期落水条件下において下位部の支持力を高めることが明らかになった。さらに出穂後の落水条件が下位部の支持力及び炭水化物再蓄積決定に関与していることが明らかになった。
All 2008
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)
Theoretical and Applied Genetics 117
Pages: 749-757
Theoretical and Applied Genetics 116
Pages: 603-612