Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
「トリの神経膠腫fowl glioma」はトリ白血病ウイルス(ALV)A亜群に属する,トリの神経膠腫誘発ウイルス(FGV)により惹起される。本研究課題の目的はFGVの神経病原因子を明らかにし,RNA干渉(RNAi)により本疾患を制圧することである。まず,ALVの病原性に関与すると言われているenv遺伝子の中からRNAiの標的として3つの領域を選び,各々に対するsiRNAを作製した。RNAi効果を検討するため,FGVを鶏胎子線維芽細胞由来株化細胞DF-1に感染させたのち,siRNAをトランスフェクションした。細胞からRNAを抽出してリアルタイムRT-PCRで検索したところ,3種類いずれのsiRNAでも効果が認められなかった。RNAiによる遺伝子発現の抑制効果は,その標的の塩基配列に大きく依存する。その一方,FGVと変異株のenv遺伝子の中で塩基配列が完全に一致し,かつ病原性に関連すると予想された領域は非常に限られていた。従って,今回検討した標的配列でRNAiを適用するのは困難であると考えられた。一方,env遺伝子中の病原性関連領域を絞り込むため,ALV-A由来の分子クローンRCAS(A)を基に,そのenv遺伝子内SU領域をFGVのそれと入れ替えたキメラウイルスを作製した。このキメラウイルスをSPF鶏胚の卵黄嚢内に接種し,現在経過観察中である。さらに,国内の採卵鶏に発見された神経膠腫から分離されたウイルス,TymS_90の病原性を確認するため,SPF鶏胚の卵黄嚢内に接種し,孵化後,脳を検索した。本実験感染鶏にもFGV感染鶏と同等の神経膠腫が認められた。さらに,採卵鶏の自然発生例と同様の小円形細胞の増殖巣が認められた。TymS_90とFGVのゲノムは全く異なっていることから,TymS_90は第二の神経膠腫誘発ウイルスであると考えられた。
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