Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
宇宙の加速膨張の起源は未解明の謎であるが、それを余剰次元模型の枠組みで重力の法則を変更することにより説明しようという試みがある(DGP模型)。私は、DGP模型の4次元有効理論に動機づけられた、非線形微分相互作用項を持つようなスカラー・テンソル理論の研究をおこなった。この種の模型はガリレオン模型と呼ばれ、スカラー的な重力の自由度が宇宙を加速膨張させる源になる一方、太陽系などの小スケールでは物質との相互作用が実効的に弱くなるという機構を有しており、実験・観測からの制限を逃れることができるという点で非常に興味深い。私は、密度揺らぎの進化が一般相対論にもとづいた標準的な宇宙模型とガリレオン模型とでは異なる点に着目し、模型の観測的検証につなげることを目的として、ガリレオン模型における宇宙論的摂動論の定式化をおこなった。加速膨張背宇宙を実現させる様々な模型を観測的に区別するために有効なツールのひとつとして、マイクロ波背景放射の積分ザックス・ウォルフェ効果が知られているが、私は、積分ザックス・ウォルフェ効果と銀河分布の相関を実際に計算することで、標準的な宇宙模型では正の相関が見られるのに対しガリレオン模型では負の相関が見られることを示し、そのような観測によりガリレオン模型が検証可能であることを主張した。ここでの摂動論の定式化はかなりの程度一般的になされたため、今後、既存の観測データを利用しながら、模型に具体的な制限をつけていく研究に適用していくことができる。
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All Journal Article (15 results) (of which Peer Reviewed: 15 results) Presentation (17 results)
JCAP 0905
Mon.Not.Roy.Astron. Soc 398
Pages: 477-484
Phys.Rev.D 80
JCAP 0911
Phys.Rev.D 81
Phys. Rev. D 79
Phys. Rev. D 77
Phys. Rev. D 78
JCAP 0707
Class. Quant. Grav. 25
Phys. Rev. D 76
JCAP 0712