Budget Amount *help |
¥2,538,935 (Direct Cost: ¥2,538,935)
Fiscal Year 2010: ¥295,081 (Direct Cost: ¥295,081)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥443,854 (Direct Cost: ¥443,854)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究ではバイリンガルが対訳語をどのように処理しているかをマスク下のプライミング手法により検証している。前年度まではL1-L2方向(e.g.,レモン-LEMON)で実験を行い,結果,日本語と英語のようにL1とL2で表記が異なる言語のバイリンガルでも音韻情報は2言語間で共有された形で表象されていることが分かった。また,音韻によるターゲット語の促進効果はL2熟練度やターゲット語の出現頻度に関わらず同程度であったことから,その促進効果は語表象(レキシカル)レベルの現象でなく下位の表象(サブレキシカル)レベルでの効果を反映しているものだと示唆された。先行研究では音韻を共有しない対訳語(ノンコグネート)の場合,L2-L1方向(e-g.,ART-芸術)では促進効果が起こらないことが知られている。これは,意味を介したプライミングにおいてL2プライムがL1ターゲットの語彙表象を十分に活性化できないことを示している。しかしながら,音韻を共有する対訳語(コグネート)を考えると,2ヶ国語間の音韻情報がサブレキシカルレベルで共有されていると仮定するならば,音韻による促進効果はL2-L1方向でも観察されるはずである。また,その効果はL2熟練度に関わらず一定であるはずである。現在までに表記が異なる2ヶ国語間のバイリンガルを対象にコグネートの翻訳プライミング効果をL2-L1方向から検証した研究はGollan et al.(1997)のみであることから,今年度は,日英バイリンガルを被験者としてこれらの仮説を検証した。結果,L2-L1方向においてコグネートによる有意な促進効果を観察した。また,その効果の大きさは,L2熟練度に関わらず一定であった。こうした結果は,対訳語における音韻がサブレキシカルレベルで共有されているという仮説を支持するものであり対訳語の処理プロセスの研究に新たな見地を提供するものである。
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