Project/Area Number |
07J05341
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Community health/Gerontological nurisng
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲上 豪二朗 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | クオラムセンシング / 褥瘡 / 創傷 / 感染 / 看護 / 高齢者 / アセスメント / アシル化ホモセリンラクトン |
Research Abstract |
褥瘡などの慢性創傷は、臨床徴候の欠除や開放による細菌汚染などによって、創傷感染を正確に診断することが困難である。近年、細菌が環境中の互いの個体密度をautoinducer(AI)と呼ばれるシグナル物質を介して感知し、制御下の遺伝子発現を活性化するQuorum Sensing機構が報告されている。細菌感染の成立に本機構が関与していることが報告されているが、創傷感染との関連は不明である。本研究では緑膿菌をQS機構による病原性調節起炎菌のモデルとして用い、実験を行った。 1年目の研究によって、緑膿菌QSシグナルが皮膚組織から定量することが可能となった。そこで、2年目の研究目的を、褥瘡感染に緑膿菌QSが与える影響の検討とし、QSシグナル定量による感染診断の意義を検討した。 動物実験には緑膿菌QS欠損株を用いた。QS欠損の種類は各種報告されており、いずれもin vivoでの病原性が低下することが知られている。しかし、褥瘡などの慢性創傷での報告はない。本実験で使用した細菌は、PAO-1、lasIrhlI破壊株であるPAO-MW1、lasRrhlR破壊株であるPAO1-MP3であり、コントロールにはPBを用いた。これらを同様の褥瘡モデルに圧迫後接種し、3日目の組織反応を評価した。結果、3日目の時点では創傷に生じた炎症反応はPAO-1においても各種破壊株においても同程度に重度であることが明らかになった。しかし、QS破壊株では、バイオフィルム形成が未熟であり、また、PAO-1のみでAHLが定量可能であった。さらに、larRrhlR破壊株では創面積がPAO-1よりも有意に拡大しており、バイオフィルム形成が未成熟であったことから、細菌の運動性が関連している可能性があったため、in vitroで運動性を検討したところ、有意に運動性が更新していた。 バイオフィルムは宿主の免疫力から回避する能力が高く、持続的な感染には必須のQS依存性の病原性であると考えられていることから、AHLがPAO-1のみで定量されたことは、AHL定量が褥瘡感染の診断指標になりうる可能性を示しているものと考えられた。また、生体内における細菌の運動性がQSによって制御されていることが明らかとなり、それが創面積やバイオフィルム形成に影響を与えている可能性が示唆され、創傷感染成立に果たすQSの新たな側面が見出された。
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