Project/Area Number |
07J05372
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Astronomy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松岡 良樹 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 可視銀河系外背景光 / 暗黒星雲法 / 銀河拡散光 / 分子雲 / 銀河 / クエーサー |
Research Abstract |
当該年度はまず、暗黒星雲法によっても除去しきれない一部の銀河拡散光の影響を最小にする方面の研究から実施した。銀河拡散光は銀河系星間空間に存在する塵による星の光の散乱光であり、暗黒星雲法によって除去できないのは観測者から見て暗黒星雲背後の星間空間に起因する成分であるから、その影響を最小にするための1つの方策としては、なるべく銀河系の外側に存在する暗黒星雲を遮蔽体として用いることが考えられる。そこで銀河系最外縁部に発見された分子雲を含む広視野領域での撮像観測を、当該年度以前にアメリカ・キットピーク観測所の0.9m望遠鏡と広視野カメラを使って行っていた。当該年度においてはその最終的な解析を終了し、銀河系外背景光成分の分離を試みた。残念ながら視線方向上に存在する星間塵による吸収・減光が予想以上に大きいことが分かり、この分析からは有意な検出は得られなかった。しかし一方では分析過程において、波数解析の手法を用いれば背景光成分を分離できる可能性を新たに見出している。銀河系の星間塵は星の光の一部を散乱して銀河拡散光を生むと同時に、一部を吸収して熱放射として再放射する。この放射は遠赤外線観測によって捉えることができ、その強度は銀河拡散光と強い相関を示すことが期待される。この相関関係を確立するため、アメリカ・キットピーク観測所0.9m望遠鏡および木曾観測所105cmシュミット望遠鏡に広視野カメラを組み合わせて、赤外線天文衛星Infrared Astronomical Satelliteによって様々な遠赤外線強度が観測された天域で撮像観測を実施した。解析の結果、遠赤外線強度と可視光強度の間には強い相関が発見され、遠赤外線強度から銀河拡散光強度を精度良く推定することができることが期待通りに確認された。さらにこの相関図からは、遮蔽体としての暗黒星雲の性質についても情報を引き出すことができることが明らかになった。可視銀河系外背景光の検出・測定が天文学の中で極めて重要な位置を占めるのは、既知の天体積分光強度からの超過を調べることによって、宇宙における未知・未検出の天体からの光を直接捉えることができるためである。そのためには当然ながら、既知の天体種族からの光の寄与をあらかじめ正確に知っておく必要がある。当該年度にはこのような目的から、背景光検出の観測的試みと並行して、宇宙年齢の関数としての銀河の形成調査をも行い、前例のない規模での調査に成功している。
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