Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1、ニホンザル生息密度推定:昨年度に引き続き白神山地北東部に生息するニホンザルの捕獲を実施し、捕獲個体の内1頭に新たに発信器を装着し、行動圏推定法による個体数・群れ数の算出を試みた。ここで算出した個体数・群れ数と、当該研究で開発した足跡カウント法によって推定した個体数・群れ数を比較し、当該推定法の精度・確度の更なる検証を行った。その結果、気象条件や調査者によって、雪面に残される足跡カウント数にバイアスが発生しやすいことが明らかになり、当該推定法を実施する際に十分な事前配慮が必要であることが示唆された。2、猿害発生にかかわる社会的要因:当該地域の農家を対象に実施したヒアリング調査(猿害発生農地、耕作放棄地の分布、農家の被害意識・営農意欲など)の取りまとめとデータ解析を継続した。白神山地東部地域において、本種の更なる分布拡大が顕著にみられ、被害も徐々に発生しはじめている現状が明らかになった。一方、被害が本格化する前の地域において、被害の「予防」に対する意識は低い。被害に対する予防的対処の重要性を地域に普及するための啓蒙活動と、人の生活圏へと向かう更なる分布回復を抑制するための積極的な個体群管理手法の確立が望まれる。3、ニホンザル樹皮食が被採食樹木に与える植物生理学的影響:サル樹皮食による植物生理学的な影響評価を行うために、積雪期にサルの樹皮採食の選択性を明らかにするための調査を昨年度に引き続き実施した。その結果、採餌選択性には年変動が大きいことが明らかになった。この年変動は、特定樹種への過度な採食圧の回避(=枯死の回避)に貢献している可能性が示唆された。また、サルに採食された樹木のモニタリングを今年度も継続した結果、サルが最もよく採餌するヤマグワを除き、枯死に至った樹木種は確認されなかった。
All 2010 2009 2008 2007 Other
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (8 results) Remarks (2 results)
ワイルドライフ・フォーラム 14巻
Pages: 5-8
Pages: 16-21
野生動物保護の辞典(朝倉書店)
ワイルドライフ・フォーラム 11
Pages: 129-145
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shakai-seitai/ecolcons/enari/enari.htm