Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
【縦断研究の実施】初心者に対し、いかに支援すればより早く効率的に熟達者になることができるのかを明らかにしたい時には、ある初心者が熟達者になっていく過程を縦断的に追う必要がある。そこで平成19年度は、18年度からおこなっていたアマチュア俳優に対する縦断的質問紙調査を、さらに被験者数を増やして2回実施した。その結果、経験の浅い俳優は視野が狭く、自分のことばかり考えて演技に臨むのに対し、経験を積むにつれて相手役の事や劇全体のことを考えるなど、視野が広く変化していくことが明らかになった。また、そのように変化するきっかけとして、演出や演技指導などのスタッフの経験を積むことや、多くの演劇を観る経験が重要であることの2つが示唆された。さらに日本大学芸術学部演劇学科で演劇を学ぶ1・2年生に対しても、縦断質問紙調査を開始した。演劇教育を受けないアマチュア俳優の結果と比較することで、演劇に対する態度については、教育の効果がすぐにあらわれやすいことが明らかになった。また、質問紙と併せて縦断的に実験をおこなうことで、演技能力の変化も追うことを開始した。【感性的熟達を明らかにする研究の実施】俳優が目指すべきは、感性的な部分に熟達することであると考えられ、さらに他領域においても感性的熟達は重要なテーマである。平成19年度は、過去の研究において熟達者たちがめいめいの言葉で言い表していた演技の感性的な部分を、さまざまな経験の長さの俳優が理解できるのかどうか、質問紙調査をおこなった。その結果、声や身体の動きなどの演技の表面的な部分についての表現は、演劇未経験者でも演劇経験者と同程度に理解できるのに対し、演技の感性的な部分についての表現は、演劇未経験者は経験者よりも理解できないこと、しかし、演劇経験者であれば、経験の長短にかかわらず、感性的な表現を同程度に理解できることが明らかになった。
All 2007
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)
Psychologia 50
Pages: 5-14
イメージ心理学研究 4
Pages: 13-38