Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
初年度は研究計画に従い,膜面宇宙構造(以下,ゴサマー構造と呼称)の地上実験と数値解析の両方を実施し,まず地上実験によって数値解析結果の精度検証を行うことを目指した.しかしゴサマー構造の動力学を地上において観察することは非常に困難であり,2008年2月22日に筑波の低圧環境設備で実施したソーラーセイル展開実験では,数値解析結果と比較できるほど精度の良い定量データを計測することができなかった.私は就職のため当初の3年の研究計画うちの1年目終了時で特別研究員を辞退するが,今後も,この1度の低圧実験失敗で得た知見を礎として,受入れ研究者・宮崎教授との共同研究を続け,ゴサマー構造の地上実験法のひとつの手法の確立を目指していく所存である.いっぽう数値解析に関する研究では,宮崎教授の指導のもと,幾何学的非線形有限要素法の枠組みの中で新たな要素を開発し,その解析法を用いて,現在JAXA宇宙科学研究本部で検討されているソーラーセイル実証衛星の動力学シミュレーションを行った.具体的には,ソーラーセイル膜が次第に繰り出されていく機構を模擬し,「長さを変える要素」に対し「ヒンジのような幾何学的拘束」を与えるモデルを開発した.これを別のモデリング方法(多粒子モデル)での解析結果と比較し,それぞれのモデリング方法の特徴を明らかにし,さらにそれらの解析結果を実機の設計へ活かす検討を行った.この研究については近く論文を執筆・投稿する予定である. 今後は,スケールモデルによる地上実験と,数値解析,という二つの手法をどのように組み合わせることで信頼性の高い人工衛星の設計につなげていくか,という方法論を知識化することが重要と考えている.そしてゴサマー構造の動力学の解明による制御系の同時設計へとつなげていきたい.1年間という短期ではあったが,申請書に記した研究目的へ一歩向かう成果を挙げることができた.
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