Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
深層海洋における鉛直流速の強さ・分布を明らかにすることが,深層循環の強さを調べる上で不可欠である.鉛直流速は,従来非圧縮を仮定して、連続の式から見積もられてきた.しかしながら,鉛直流に比べ東西流が著しく大きいことから,誤差が大きくなる可能性がある.粘性・拡散が無視できる限られた領域において水平流速を観測して鉛直流速を見積もるために,ポアソン方程式を解くという手法が用いられてきた.本研究ではこの手法を拡張し,粘性・拡散項を組み込んだ.これにより,質量の保存ではなく,力学的バランスを考慮した鉛直流速の見積もりが可能となる.そして海洋大循環モデルによって得られた水平流速・密度データから,この手法による鉛直流速と連続の式によって得られた鉛直流速とを比較した.モデル領域として箱型の海洋を使用する.子午面循環が定常になったところで水平流速,密度分布から鉛直流速を見積もった.その結果、海洋内部の中・深層においてポアソン方程式による鉛直流速は連続の式による流速をよく再現することがわかった.一方,西岸の境界流付近において,ポアソン方程式による鉛直流速が連続の式による流速を5倍程度上回っていることがわかった.これは,従来考えられて来なかった領域に深層水の湧昇域がある可能性を示しており,現在その分析を進めているところである.また,赤道付近において連続の式による流速を2オーダー以上上回る結果が出る場合があり,赤道付近で正しく見積もれていない可能性がある.今後,手法を改善してより正確な見積もりを行うとともに,現実的な地形・境界条件でモデルを動かすことにより,現実の海洋における鉛直流速の分布,さらにはそれと拡散係数分布の関係を調べていく.
|