Research Abstract |
現在,インターネットを介した分散環境下において,データ共有,シミュレーションの実行やその応用など,多様な協調連携が行われつつあり,また,その動作基盤としてWeb環境が有用視されている.三次元以上の情報,特にボリュームデータの観察には,ユーザの操作に対する高速な応答表示による円滑なインタラクションが必要であるが,Web環境上では,サーバ側で可視化した画像をクライアントに送信するにとどまっている,本研究では,高速応答には自立的な表示機能の付加が有効であることに注目して,サーバ側とクライアント側の両者でボリュームデータ表示を行うハイブリッド可視化システムを提案,構築している. 提案システムでは,Webブラウザ上で動作するクライアントで高速表示を行うため,現在PCに広く普及しているGraphics Processing Unitを利用したボリュームレンダリングを行う.一方,サーバ側では多様な多次元データに対応するため,対象データに付加されたメタデータを参照してデータを読み込み,複数の粒度へのデータ縮小を行う.クライアントの処理性能やネットワーク帯域に合わせて,これら表示用データの粒度を調節し,様々なクライアント上でのボリュームデータ表示を実現する.加えて,サーバ側では読み込んだデータを対象に分散ボリュームレンダリングを行い,高速表示を重視したクライアントでの表示に加え,高品質な結果表示を組み合わせて行うことにより,速度と品質を両立した可視化表示を行うことができる. システムのプロトタイプによる実験では,数値シミュレーションの結果や断層撮像装置から取得したボリュームデータを対象に,様々なハードウェアやソフトウェアから構成されるクライアントPCにおいて,円滑なインタラクションの実現を確認できた.本研究で提案した可視化システムアーキテクチャは,多分野での分散環境における協調連携への利用が期待される.
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