光環境変動により引き起こされる光化学系I複合体の動態の解析
Project/Area Number |
07J07175
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
植物生理・分子
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 拓子 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | クラミドモナス / 酸素発生型光合成電子伝達反応 / ステート遷移 / 光化学系I複合体 / アンテナリモデリング / アンテナサイズ / リン酸化 |
Research Abstract |
ステート遷移は、光化学系I(PSI)とII(PSII)の間で励起エネルギーを再分配し、光合成を効率的に行う馴化機構として知られており、PSIIがより励起する条件ステート2では,PSIIの集光性複合体(LHCII)の一部であるモノマーLHCIIがPSIに移動・結合し、PSIのリモデリングを行っていると考えられる。19年度に得られた研究成果から、ステート2においてPSI-LHCIにモノマーLHCIIが結合して形成されるPSI-LHCI/II超分子複合体では、アンテナクロロフィルが20-30%増加していることが示唆された。 20年度は、PSI-LHCI/II超分子複合体に結合するモノマーLHCIIの量比を求めるために以下の解析を行った。(1)モノマーLHCIIの結合によりアンテナクロロフィルが20-30%増加することが原理の異なる実験においても立証できるか検証した。(2)結合するモノマーLHCIIがPSI-LHCIの集光機能の増加に寄与するかを分光学的に解析した。(3)放射性同位元素14Cで全タンパク質をラベルし、PSI-LHCIあたりに結合するモノマーLHCIIの量比を求めた。 (1)において、ウェスタン分析によりPSI-LHCI、PSI-LHCI/II画分におけるクロロフィル量あたりのPSIのタンパク量を求めると,PSI-LHCI/IIではPSI-LHCIの75-80%となり、モノマーLHCIIの結合によりアンテナクロロフィルの量は約30%増加していることが示唆された。さらに分光学的な解析により、PSIの反応中心P700あたりのクロロフィル数を求めると、PSI-LHCIでは277±8Chls/P700だったのに対し、PSI-LHCI/IIでは348±11Chls/P700となり、LHCHの結合によりアンテナクロロフィルは約30%増加していることが示された。これは、5-6コピーのモノマーLHCHサブユニットに相当すると考えられる。これらの結果により、ステート2において形成されるPSI-LHCI/II超分子複合体ではアンテナクロロフィルがPSI-LHCIに比べて約30%増加していることが、原理の異なる実験により示された。 (2)において,PSI反応中心P700の光酸化の飽和の閃光強度依存性を調べると、モノマーLHCIIを結合しないPSI-LHCI標品では、PST-LHCI/II標品に比べてより強光下で飽和した。この結果から、ステート2でPSI-LHCIに結合するモノマーLHCIIは、PSIのアンテナとして機能していることが示された。 (3)において、クラミドモナス野生株細胞の全タンパク質を放射性同位元素^<14>Cで標識し、PSI-LHCI/II標品を分画した。その後電気泳動によりポリペプチドを分離し、得られたオートラジオグラムからPSIあたりのモノマーLHCIIの量を求めると、PSIあたり5-6コピーであった。より正確な結論を得るため、電気泳動での分離条件の検討等行い現在も解析を続けている。 これらの結果から、ステート2においてPSI-LHCI超分子複合体は5-6コピーのモノマーLHCIIが結合することにより、約1.3倍アンテナサイズが増加した。また、PSI-LHCIに結合するモノマーLHCIIは,PSIのアンテナとして機能していることが示された。これらの結果は、第13回クラミドモナス国際会議及び、第50回日本植物生理学会年会にて報告した。^<14>C標識によるタンパク質の定量実験のより正確な結果が出次第、論文を完成させて学術雑誌に投稿する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)