北太平洋の中層における約20年周期変動と潮汐の18.6年周期変動の関係
Project/Area Number |
07J07317
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Meteorology/Physical oceanography/Hydrology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長船 哲史 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 20年変動 / 潮汐18.6年変動 / 乱流鉛直混合 / 水塊 / 潮汐18.6変動 |
Research Abstract |
前年度までの研究により得られた水塊変動の描像について、海域に依らない統一的な解釈を行い、鉛直混合による水塊変質の効果が潮汐18.6年振動に伴って変化することで観測された変動を説明出来る事を示した。具体的には、鉛直混合による効果として、高塩な亜表層水の表層への取り込み、中層における水温極大・極小構造の弱化が挙げられる。千島列島やアリューシャン列島周辺などの強混合域におけるこれらの効果が変化することで、混合が強い時期に、表層が高塩、水温極大・極小構造周辺がそれぞれ低温・高温である傾向を示したと解釈出来る。この内容について、共同利用シンポジウムで口頭発表を行い、月刊海洋の特集号に掲載された。次に、この仮説を検証するため、海洋大循環モデルを用いた数値実験を行った。モデルに与える、鉛直拡散係数を局所的に大きく(20,50,200cm^2/s)することで、潮汐による強い鉛直混合を表現した。過去に行われた数値実験により、千島列島周辺における鉛直混合が水塊形成にとって重要であることが示唆されているが、与えた鉛直拡散係数(200cm^2/s)が過大であるとの指摘も存在していた。本研究により、新たにアリューシャン列島周辺における鉛直混合の効果を考慮することで、ベーリング海における水塊の再現性が向上することが示唆された。これは、オホーツク海における水塊形成にとっても、起源水の再現性向上を意味しており、比較的小さな鉛直拡散係数(20cm^2/s)を用いて水塊再現性を向上させられることが示唆された。これらの計算結果を元に、強混合域における鉛直拡散係数を18.6年周期で変化させた実験を行った。鉛直拡散係数を平均値の30%変化させることで、観測と同程度の変動を再現出来た。以上の結果は、今までほとんど考慮されてこなかった潮汐に伴う局所的な強い鉛直混合が、海洋の平均場・変動場を考えるうえで重要な役割を果たしている可能性を支持するものであり、今後の海洋・気候シミュレーションの精度向上に貢献することが期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)