Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究課題は,視覚変化処理および受動的注意システムの脳内メカニズムを,能動的注意システムとのダイナミックな関係性という観点から明らかにすることであった.特に最終年度である今年度の研究課題は,これまでに得られた知見の精緻化と総括を行い,視覚変化処理および受動的注意システムの脳内メカニズムに関する心理学的情報処理モデルを立案することであった.私はこれまでの研究において事象関連脳電位(ERP)を指標とした実験を行い,視覚変化処理および受動的注意システムの脳内メカニズムを,特に能動的注意システムとの時間的・空間的なダイナミクスという観点から検討してきた.これらの研究において,主として以下の知見が得られた:(1)視覚変化検出に関連する複数のERP成分の発見(change-related positivity, change-related negativity, frontal positivity, deviant-related negativityおよびvisual mismatch negativity),(2)能動的注意システムによって処理される課題関連情報と,視覚変化処理および受動的注意システムによって処理される変化情報が時間的に接近して呈示された場合には,視覚変化処理システムおよび受動的注意システムが優先的に変化情報を処理し,その変化情報処理の終了後,再び能動的注意システムが課題関連情報の処理を開始するという系列的な注意メカニズムが存在する,(3)能動的注意システムによって制御されている空間的注意は,視覚変化情報の処理に極めて強力な影響を持っており,呈示される視覚変化情報自体が等価であっても,能動的注意と視覚変化情報の空間的な関係に依存してその処理の程度が大きく変わりうる.これらの知見の総括を目指し,今年度私は,近年の聴覚認知研究において注目されている情報処理モデルをベースとして(Schroger, 1997, Journal of Psychophysiology),視覚変化処理および受動的注意システムに関する情報処理モデルの提案を試みた.さらにこのモデルにおいて,上記のような現象を包括的に説明しうる脳内メカニズムとして,「規則性表象」という脳内記憶表象の存在を新たに提案した.この規則性表象についての知見は,国際学術論文二本に掲載されるとともに(Kimura, Widmann, & Schroger, 2010, Brain Research; Kimura, Schroger, Czigler, & Ohira, 2010, Journal of Cognitive Neuroscience),国内外の5つの会議において発表された.
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