ショウジョウバエの翅を用いたモルフォゲン活性の勾配形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J07927
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Developmental biology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小木曽 由梨 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2007 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | モルフォゲン / パターン形成 / BMP / 安定性 / ショウジョウバェ / 翅 / BHP / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
発生過程において、均一な細胞集団から特定の構造が形成される機構はパターン形成と呼ばれており、発生生物学の中心的な課題である。パターン形成において、モルフォゲン分子は限局した細胞群から拡散して濃度勾配を形成し、濃度依存的に細胞に位置情報を与えている。多くの場合、パターン形成に関わる遺伝子を1コピー失ったヘテロ変異体でもパターンに異常が見られないことが知られているが、この機構は未だ証明されていない。 本研究では、モルフォゲンについての多くの知見が得られているショウジョウバエの翅を用いた。BMPホモログであるDppはモルフォゲンとして働き、翅のパターン形成を担っている。Dppが受容体Tkvに結合すると、細胞内因子Madがリン酸化により活性化され(pMad)、pMadは核に移行し、標的遺伝子の発現を制御している。そのため、pMadのレベルはDppシグナルの細胞内活性のレベルを表していると考えられている。 これまでの知見により、tkvのヘテロ変異体では、翅のパターンに異常が見られないことが知られている。この原因を明らかにするため、Tkvの発現レベルを人工的に操作することのできる系を構築した。Tkvのレベルを増加させた時のpMadの変化を解析したところ、増加すると予想していたが、有意な変化は見られなかった。そこで、この原因として、Dadによる負のフィードバック機構に着目した。dadはDppシグナルにより活性化される標的遺伝子の一つで、Madのリン酸化を抑制している。dad遺伝子欠失下で、Tkvのレベルを増加させたところ、pMadのレベルも有意に増加することが分かった。 これらの結果より、DadがTkvの変化を補償し、pMadのレベルを一定に保つのに必要であることが明らかになった。負のフィードバック機構がモルフォゲンの活性勾配の安定化に寄与することを実験的に証明したのはこれが初めてである。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)