Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,原子力発電設備に生じた欠陥が疲労き裂であるか応力腐食割れであるかを超音波探傷試験による非破壊検査で判別することを目的としている.はじめに,これまで本邦の原子力発電設備に生じた疲労き裂と応力腐食割れの形状について調査を行い,原子力発電設備の溶接部に生じる応力腐食割れは主に金属結晶の粒界に沿って進展し,屈曲した形状になるという特徴があることを見出した.一方で疲労き裂は屈曲せずに進展するため,非破壊検査手法を用いて部材内に生じた欠陥を高い空間分解能で可視化して詳細な形状を観察できれば,両者の形状の差異から欠陥種別を判定できる可能性がある.そこで,き裂を可視化できる手法として現在広く使用されつつあるフェイズドアレイ探傷システムを使用して,応力腐食割れの可視化実験を行った.その結果,現在主流のフェイズドアレイ用超音波探触子では,空間分解能が十分ではなく,欠陥種別を判定できるほどの鮮明な可視化画像は得られないことが明らかになった.そこで,超音波探触子が生成する音場を解析するソフトウェアを独自に開発し,それを用いてより高い空間分解能を有するフェイズドアレイ探触子を設計した.また,この探触子によって得られる受信信号に対して開口合成法と呼ばれる可視化手法を適用すれば欠陥形状を明瞭に可視化できることを差分法による数値シミュレーションで示した.さらに,フェイズドアレイ探触子の各素子で超音波を送受信した時の超音波の強度分布はフォーカスしている欠陥の局所的な傾きと関係があることを明らかにし,この特徴を利用して欠陥の局所的な傾きを推定する手法を提案した.また,推定された欠陥の傾きを色彩の変化に反映させて可視化する新しい開口合成法を開発し,この方法によって疲労き裂と応力腐食割れの種別判定が可能であることを示した.
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