Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究では,一連の金属ポリヒドリドクラスター錯体を用いて,窒素分子およびアンモニアの不活性小分子の活性化に取り組んできた。窒素分子の最高被占軌道(HOMO)とその最低空軌道(LUMO)のエネルギー差は大きく、一般的にそれらの軌道と遷移金属錯体との相互作用を誘起することは難しい。そこで、窒素分子と相互作用するクラスター錯体の合成を目的として,様々な電子状態を有する四核ルテニウムポリヒドリド錯体の合成に取り組んだ。 これまでにCp^*とCp基を有する一連の四核ルテニウムヘキサヒドリド錯体(Cp^*Ru)_<(4-n)>(CpRu)_nH_6(n=0,1,2,3,4)の合成法が確立されている。そこで,それらと種々の還元剤との検討を行い,アニオン性錯体の合成に取り組んだ。その結果,KHおよび18-crown-6の存在下で加熱することで,アニオン性ペンタヒドリド錯体[(Cp^*Ru)_<(4-n)>(CpRu)_nH_5][K(18-crown-6)](n=2,4)が得られることを見出した。一連の四核ルテニウムヘキサヒドリド錯体(Cp^*Ru)_<(4-n)>(CpRu)_nH_6(n=0,1,2,3,4)とプロトン酸との反応ではジカチオン性オクタヒドリド錯体[(Cp^*Ru)_<(4-n)>(CpRu)_nH_8](BF_4)_2(n=0)またはジカチオン性ヘキサヒドリド錯体[(Cp^*Ru)_<(4-n)>(CpRu)_nH_8](BF_4)_2(n=1,2)が得られることを明らかにした。 また、ヘキサヒドリド錯体(Cp^*Ru)_<(4-n)>(CpRu)_nH_6(n=0,1,2,3,4)は脱水素によって、テトラヒドリド錯体((Cp^*Ru)_<(4-n)>(CpRu)_nH_4(n=0,1,2,3,4)を与えることを見出した。これらテトラヒドリド錯体は,対応するヘキサヒドリド錯体よりも低い電子状態を有し,水素分子の脱離によってもHOMOおよびLUMOが大きく変化することを見出した。本研究の成果は,金属クラスター錯体を用いた窒素分子の活性化に関して重要な知見を与えるものである。
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