Project/Area Number |
07J08131
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上村 洋平 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2007 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | DXAFS / 燃料電池 / 合金ナノ粒子 / 反応速度 / XAFS / 時間分解 / ナノ粒子 / 合金 / 触媒 / 反応機構 / 放射光 |
Research Abstract |
本年度は主に合金ナノ粒子(Pt-Sn.Pd-Zn)の還元による合金生成過程、及び酸化による合金の相分離過程をin situ DXAFS法を用いて測定し、その結果を化学反応速度論に基づいて解析を行った. Pt-Sn合金ナノ粒子は燃料電池の電極触媒として用いられ、従来のPt触媒で問題となるCO吸着による触媒被毒に強く、またPt触媒と同等の活性を発揮するため、実用的な触媒材料として期待が高い.その一方で発電効率を保つために重要なPt-Sn合金相は燃料電池の動作下で徐々に劣化し、発電効率を落とすという問題点がある.実用に耐えうる電極触媒となるためには、長時間の連続運転に耐えられる触媒が必要である.このためPt-Sn合金触媒の劣化機構の解明が必要である.燃料電池触媒は電極上で酸化及び還元過程を繰り返していることから、酸化還元のサイクルに問題があると考えられる.特に合金を形成するPtとSnそれぞれの酸化還元反応機構を解明することは、新規材料開発に重要な知見をもたらすことが期待される.そこで酸化アルミニウム上に担持したPt-Sn合金ナノ粒子の酸化還元過程、及び活性炭上に担持したPt-Sn合金ナノ粒子の酸化過程をin situ XAFS測定を行い、その反応メカニズムの解明を試みた. 時間分解XAFS測定を行い、合金ナノ粒子を構成する元素毎のXAFSスペクトルの時間変化を測定することにより、PtおよびSnの酸化及び還元の進行度を時間に対して算出し、反応速度式及び反応速度定数を決定した.アルミナ上に担持したPt-Sn合金ナノ粒子では、Ptの酸化過程が2段階反応であるのに対し、Snの酸化過程は1段階反応であるという結果を得た.さらにSnの酸化反応の反応速度定数は、Ptの1段階目の反応速度定数とほぼ同等であるということが分かった.このことから酸化過程では合金相に含まれているPtとSnは同時に酸化されること、またSnが酸化された後もPtは酸化され続けるということが分かった.このような実験及び解析をアルミナヒのPt-Sn合金ナノ粒子の還元過程についても行い.その反応機構を決定した前述のような実験を活性炭上に担持したPt-Sn合金ナノ粒子についても行った.ここで用いた活性炭は燃料電池の電極触媒の材料として実際に用いられているケッチェンブラック・を用いた.Pt-Snの調製条件を変えることでPt_3Sn相を主に含む試料とPtSn相を主に含む試料の2種類を調製し、それぞれの試料について酸化過程の測定を行った.その結果Pt3SnではPtとSnがほぼ同じ速度で酸化されていたのに対し、PtSnではPtの酸化速度がSnの酸化速度の約1/2であった.両試料でのSnの酸化速度はほぼ同程度であった.つまりSnの含有量が増えることにより、Ptの酸化速度が変化しているということが考えられた. 酸化亜鉛上に担持したPdZn合金ナノ粒子の酸化還元過程でのin situ XAFS測定も同様の方法を用いて行った.PdZn合金ナノ粒子はメタノール改質反応を利用した燃料電池触媒の、メタノール改質触媒として期待されているものである.本件では合金ナノ粒子の還元雰囲気による形成過程と酸化過程について,EXAFS構造解析を行った.還元過程ではPdナノ粒子が形成した後にPdZn合金ナノ粒子が形成されることがわかった.また酸化過程ではPdZn合金ナノ粒子が酸化された後Pdナノ粒子が形成されていることが分かった.このPdナノ粒子はアルミナやシリカ上に担持した場合よりも酸化速度が遅かった.現在この中間体の構造の詳細について検討中であるが,ナノ粒子の表面にZnOの被膜等が形成され、Pdと酸素の接触を妨げているのではないかと考えられる. 昨年度から行っていた高速気体導入セルでは、10ms未満で気体がin situセル中に拡散させることに成功した.これは従来使用していたin situセルでは気体の拡散に500msほど要していたこと、また現在のDispersive XAFSのセットアッフでは最小で2msの時間分解能であることから、現行のDispersive XAFS法の時間分解能を十分に生かすin situセルを製作することに成功した.
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