減数第一分裂における還元分裂の制御メカニズムの研究
Project/Area Number |
07J08366
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Molecular biology
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加々美 綾乃 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2007 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 染色体分配 / 減数分裂 / 還元分配 / 一方向性結合 / Moa1 / Plo1 / 分裂酵母 / polo-likeキナーゼ / Moal / Polo-likeキナーゼ |
Research Abstract |
遺伝情報の正確な複製・分配は細胞が増殖する際に必須であり、そのメカニズムは細胞内で厳密に制御されている。真核生物ではその目的に応じて体細胞分裂と減数分裂の二つの異なる分裂様式を使い分けている。 通常の細胞増殖に用いられる体細胞分裂では、母細胞と同じ遺伝情報を持つ二つの娘細胞が生み出される。この際、複製された二本の染色体(姉妹染色分体)は娘細胞へ一本ずつ均等に分配される(均等分配)。一方、減数分裂は半数体の配偶子を形成する際に用いられる分裂様式である。このため一回のDNA複製の後、二回の連続した分裂(減数第一分裂・第二分裂)がおきることで染色体数を半減させる。この減数第一分裂では体細胞分裂や減数第二分裂とは異なり、姉妹染色分体は接着を保持したまま片側の極へと分配される(還元分配)。 このような均等分配と還元分配の違いを引き起こしているのは、姉妹動原体の方向性にあることが明らかになっている。体細胞分裂や減数第二分裂では姉妹動原体は両極からのびるスピンドル微小管に捉えられ二方向性結合を形成しているが、減数第一分裂では共に同一側の極から捉えられた一方向性結合になっている。この一方向性結合の確立には、減数分裂特異的なRec8コヒーシン複合体が姉妹染色分体のセントロメア中央領域(動原体形成部位)を接着することによって一方向性の構造を持つ姉妹動原体を作り出す事が必須であることが示されている。一方で、減数分裂期特異的な動原体タンパク質Moa1はPlo1(保存された分裂期キナーゼであるPoloキナーゼの分裂酵母ホモログ)と複合体を形成し一方向性結合の確立に必須の機能を果たしている。Moa1-Plo1複合体は一方向性動原体が形成される減数分裂前DNA複製期から減数第一分裂中期にかけて動原体に局在する事がわかっているが、どのようなメカニズムで一方向性結合の構築を制御しているのかは全く不明である。 そこでまずmoa1遺伝子破壊株ではセントロメア中央領域におけるRec8の局在に変化がみられないことに着目した。このことからmoa1遺伝子破壊株においてRec8コヒーシン複合体は局在しているものの姉妹染色分体間の接着というコヒーシン本来の機能を果たしてないと考えられる。近年の研究からコヒーシン複合体が姉妹染色分体を接着するためには局在するだけではなくアセチル基転移酵素ECO1(分裂酵母ではEso1)によるコヒーシン複合体サブユニットのアセチル化が必要であることが明らかになっており、その主な標的はS期においてはSmc3、DNA損傷応答に際してはRad21(体細胞分裂期におけるRec8相同因子)であることが分かっている。このことからMoa1-Plo1複合体はコヒーシンのアセチル化状態の制御を行うことにより、セントロメア中央領域の姉妹染色分体間の接着を促進し一方向性結合を形成している可能性が考えられた。 eso1遺伝子破壊株は致死であるため既存のeso1温度感受性株を用いて減数第一分裂における姉妹染色分体の分配形式を観察したところ、moa1遺伝子破壊株同様、減数第一分裂に欠損を生じる事が示された。また、moa1破壊株においてEso1を強制的にセントロメアに局在化させたところ、そのアセチル基転移活性に依存してmoa1破壊株の表現型を20%程度抑圧することが示された。そこでEso1とMoa1が複合体を形成する可能性を考え、Yeast Two-hybrid法および減数分裂期の細胞を用いて共沈実験を行った所、Eso1とMoa1は減数分裂期において相互作用している事が示された。このことからMoa1-Plo1複合体がEso1を介してセントロメア中央領域でコヒーシン複合体のアセチル化を亢進し姉妹染色分体の接着を促進していることが考えられた。
|
Report
(3 results)
Research Products
(2 results)