Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
RalはRasファミリーに属する低分子量GTP結合蛋白質であり、細胞の増殖、生存、膜輸送など様々な細胞機能を担っている。本年度はRalのGTPase-activating protein(RalGAP)を、分子同定し世界に先駆けて報告した。RalGAPは触媒サブユニットα1あるいはα2と、両者に共通した制御サブユニットβからなるヘテロ複合体であり、α1-β複合体をRalGAP1、α2-β複合体をRalGAP2と命名した。これらRalGAP複合体は、結節性硬化症原因遺伝子産物であり、RhebのGAPであるTSC1-TSC2複合体に一次構造上の相同性を示す。組織発現解析では、βサブユニットはユビキタスに発現していた。一方、αサブユニットは組織によって発現に差があり、脳ではα1が、肺や肝臓ではα2が優位であった。リコンビナントRalGAP1を用いた酵素学的解析により、RalGAP1はRalAによるGTP加水分解反応を約280,000倍に加速することが明らかになった。なお、このGAP活性にはα1とβの複合体化が必須であった。RNAiを用いた解析ではβの抑制により、GTP型RalAの量が約3倍に増加することから、同定したRalGAP複合体が実際に細胞内でもRalの抑制性制御因子として働いていることが明らかとなった。また、βの抑制により、上皮成長因子刺激時のRalAの一過性の活性化が遅延した。このことから、RalGAPは刺激時におけるRalの効率的な不活性化に必須であることが示唆された。Ralは、癌、代謝異常など様々な疾患に関わっており、RalGAPの同定によりRalシグナリングの異常が生体におよぼす影響の解析が可能となったと考えられる。
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Journal of Biological Chemistry
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http://kyoto-u-cardio.jp/kisokenkyu/kessen/