グローバル時代におけるタイの集合的記憶と国家意識の形成に関する社会学的研究
Project/Area Number |
07J08452
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
翁川 景子 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | グローバリゼーション / ナショナル・アイデンティティ / 歓待 / 他者 / 集合的記憶 / タイ / 国際情報交換 / 社会学 / 国家 / タイネス / アジア認識 / 日系企業 / グローバル時代 / ナショナリズム |
Research Abstract |
2008年度は研究実施計画に基づき、また、昨年度の研究成果を踏まえ、量的調査を実施するための諸々の準備と理論的枠組の再検討を中心的におこなった。 量的調査であるが、バンコク市内にある4つの大学に調査協力を得て、タイ都市部における大学生約600人を対象に、タイネスというナショナル・アイデンティティについて質問紙を用いた自記式調査を実施した。市井の人びとを対象としたナショナル・アイデンティティに関する量的調査は、ISSP(International Social Survey Program)などによって手がけられているが、タイでは実施されていない。それゆえ、本調査をタイで実施することだけでも十分な意義があるが、さらに、本調査はナショナル・アイデンティティに関連する変数として「歓待」と「外国(人)接触経験」を新たに導入した。ナショナル・アイデンティティが集団の統制に関わるものであるならば、人びとにおけるナショナル・アイデンティティの強度が高いほど、排他性が高まるという仮説が成り立つ。この仮説の検討および調査結果の発表は、今後順次おこなっていく。 また、理論的研究ではタイにおけるフィールドワークと量的調査との対話過程のなかで煮詰めてきた集合的記憶と集団の境界に関する研究を実施した。ここでは、M.アルヴァックス音楽論のなかから聴覚の記憶について論じている箇所を検討することで、感覚の集合的記憶が現代において想起されるときに生じる、排除や排斥の問題について指摘し展開したものである。この研究において見出した間身体的位相における不可視な境界線は、国境や人種などといった境界線と異なり、無自覚に引かれるのがその特徴である。グローバル時代といわれる今日、われわれは同じ民族であることや国民であることを想像し合う間もないほどに、他者や異邦人との出会いに遭遇している。そこにおいて、自明性の背後で、かつ、目にみえないかたちでおこなわれる差異化をいかに回避していくのか。こうした課題が、今後の研究において深めるべき論点として導出された。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)