Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
昨年度の研究から,人工軟骨候補材料ポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲルの低摩擦化には,ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)による多分子膜形成が重要な機軸となることが確認された.また,リン脂質多分子膜のモデル膜としてDPPC二分子膜をPVAハイドロゲルの摩擦相手面に付与した摩擦試験により,DPPC二分子膜が初期摩擦の低減に有効であることが確認された.そこで本年度は,DPPC二分子膜の維持・修復性に着目し,摩擦試験後の表面膜形態の観察を行うことで,より詳細にDPPC二分子膜がPVAハイドロゲルの摩擦挙動に与える影響を調査した.その結果,以下の知見を得た. 1.DPPC水溶液もしくはリン脂質成分を含むウシ血清溶液を潤滑液として用いた場合,DPPC二分子膜の摩擦低減効果は滑り距離が増加した場合においても維持され,特にDPPC水溶液を用いた場合は,摩擦係数0.015程度の低摩擦を維持した.また,摩擦試験後のDPPC二分子膜の観察により,潤滑液成分によるDPPC二分子膜の維持・修復効果が確認された. また,生体関節軟骨の潤滑特性に及ぼす軟骨下部組織の影響を調べるため,様々な軟骨下部組織厚さを有する軟骨試料を用いて摩擦試験を行った.その結果,以下の知見を得た. 1.軟骨下部組織厚さが薄いほど高摩擦を示し,軟骨層の厚さに対して十分に厚い軟骨下部組織を有する試料は低摩擦を示した.また,軟骨下部組織が関節軟骨の二相性潤滑能および水和潤滑能に影響を及ぼすことが示唆され,関節軟骨の潤滑性に及ぼす軟骨下部組織の重要性が示された. 2.生体関節軟骨は生体高分子からなるハイドロゲルとみなせる.1.の知見を考慮すると,人工のハイドロゲルを人工軟骨として臨床応用する際には,ハイドロゲルのバルク特性のみではなく,ハイドロゲルの潤滑性を十分に発揮させるための摩擦面への固定法の重要性が示された.
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