Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)は、ヘム含有二原子酸素添加酵素で、ヒトにおける主なトリプトファン代謝経路の最初の反応を触媒する。近年、免疫系の病気への関わりが明らかになる一方で、酵素反応における反応機構そのものは不明である。医学および薬学の観点からも反応機構の解明が待たれる状況において、昨年度に引き続き反応中間体の検出を目指してラマン分光測定を行なった。昨年度は、共鳴ラマン分光法を用い、反応中間体を検出する事に成功した。1つは酸素化型で、もう1つはこれまで想定されていなかったオキソ型である。これは酵素反応が比較的遅い条件においてであった。そこで本年度はオキソ型反応中間体が、酵素反応が速い条件下であっても存在する事を確かめた。また、時間分解共鳴ラマン分光法を用い、基質存在下三者複合体の検出に成功した。本酵素には基質阻害、すなわち、ある濃度以上の基質濃度では反応速度が遅くなる性質がある。時間分解共鳴ラマン分光測定において、基質阻害がある条件と無い条件の両方について三者複合体の検出に成功した。その結果、これら2条件で鉄と酸素の結合に由来するラマンバンドは一致しており、基質阻害の有無が三者複合体形成時の中心金属と酸素分子の結合に違いを与えないことを明らかにした。ミトコンドリアの呼吸鎖電子伝達系末端において、酸素を水にまで還元するとともにプロトンを内膜の内側から外側へとポンプするチトクロム酸化酵素を、人工リン脂質二重膜に再構成したCOVについての共鳴ラマン分光測定系を昨年度において作成した。しかし、膜電位が本酵素の機能発現に与える影響を調べるためには、より良質で共鳴ラマンスペクトル測定に必要な量のCOVを常に得られる調製法を確立する必要があった。そこで本年度は、ラマンスペクトル測定を行なっても膜に損傷を受けないCOVをこれまでの10倍量程度得る調製法を確立した。
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Chemistry Letters 39
Pages: 36-37