Project/Area Number |
07J11731
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
川鍋 陽 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2007 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 生物物理 / ロドプシン / レチナール / 光受容 / 光合成 / プロトンポンプ / イオン輸送 / 海洋性細菌 / 膜タンパク質 / フォトクロミズム / 紫外・可視分光 / 赤外分光 / バイオ |
Research Abstract |
本研究では光センサーと考えられているAnabaena sensory rhodopsin (ASR)を対象にして、ロドプシンが機能を発現するための構造変化の解析および、新規機能の開発を目的としている。さらに、ASRではないが類似のタンパク質を対象にNative状態での機能測定にも挑戦した。本年度の研究成果の概要を以下に記述する。 1.新規機能の開発にあたって、もともとプロトンポンプ活性がないと報告されているASRをもとに、外向きのプロトンポンプ機能を持たせようと試みたが、未だに実現していない。しかし、研究の過程で驚くべきことに細胞質側膜表面付近の、Asp217をGluに置換することで、ASRは通常とは逆の内向きのプロトン輸送を実現した。この成果は化学誌の最高峰であるJACS誌に掲載され、神経生理学や薬などへの応用が期待されている。また、発展形として、よりプロトン輸送活性が高いタンパク質の開発を試みた。注目したのはプロトンの輸送経路上に存在するSer214である。この残基をAspに置換したところ、狙い通りプロトン輸送活性が大きく上昇した。これは応用研究への活用の幅が広がる結果であると考えている。 2.これまでの古細菌以外から発見されたロドプシンの研究では、大腸菌で発現させて機能を評価しているため、in situで実際に機能しているのか不明であった。そこで私は、東京大学海洋研究所の木暮教授吉澤博士との共同研究で10年ほど前に発見されて、広く知られているProteorhodopsin(PR)を対象にin situでの機能解析を行った。その結果、Nativeの海洋性細菌において光駆動プロトンポンプとしてPRがはたらいていることを確認した。これは、海に広く存在する海洋性細菌の光利用のエネルギー産生において、クロロフィルの光合成系ではなくレチナールタンパク質を利用していることを示唆している。これまでレチナールタンパク質をエネルギー産生に活用しているのはごく少数の古細菌のみと考えられてきたが、今回の成果はこれまでの常識を覆す可能性がある。
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