Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
食品の劣化を長期にわたり防ぐ保存法として,冷凍保存法は利用されている.しかし,生鮮野菜組織は,冷凍プロセスにおいて激しいダメージを受け,解凍後の品質を著しく低下させてしまう.そのため,冷凍保存に変わる新しい長期保存技術の開発が望まれている.そこで,本研究では,生鮮野菜組織の軟化メカニズムの理解を通して,新たな生鮮野菜の低温保存法を提案することを目的とした.その方法として,生物の代謝を抑制すると考えられている構造化した水・ガスハイドレートの利用を提案してきた.実用的な研究に先立って,基礎的な事項として組織内におけるガスハイドレートの形成を確認した.その結果,キセノン分圧0.8MPa,5℃の雰囲気下でタマネギ組織を保存すると,数時間後,結晶様物質の形成を確認した.これを低温粉体X線回折装置(Rigaku model Ultima III, Rigaku)を用いて回折測定した結果,タマネギ組織においてもI型のキセノンハイドレートが形成されることを確認した.従って,生物体においても,水同様にガスハイドレートが形成されることが示された.また,併せて行ったNMR(MU25A,JOEL)を用いたソリッドエコー法による測定より,組織体内に形成したガスハイドレート含量を,非破壊で連続的に検出できることを示した.そして,このNMRによる観察の結果,-18℃における氷結晶の形成と比校して,キセノンハイドレートの形成は遅く,かつ,0.8MPaのキセノン分圧では組織内の水の50%しかハイドレート化しないことが示された.この結果より,ガスハイドレートは,氷と比較して,組織内における形成量をコントロールできる可能性が示された.従って,今後,凍結保存に代わる生鮮野菜の新しい長期保存としての効果を検討すうに必要な基礎的知見が示された.
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