Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
閉鎖性水域の水環境は,密度成層が発達する夏季になると底層水の貧酸素化によって劣悪な状況に陥る.港湾海域では,底層への酸素供給を促進する人工構造物やエアレーション装置が開発されているが,これらの技術の貧酸素化改善効果を明らかにするためには,底質の酸素消費特性を明らかにする必要がある.本研究は,港湾海域において年間を通じた現地調査を実施して,底質の酸素消費特性の季節変化について検討した.調査は,大阪湾奥部の堺泉北港にて,2008年4月から2009年3月に2週間毎に実施した.調査では,人為的に酸素を供給することが可能なチャンバー装置を用いて底質の酸素消費量を計測し,これと同時に,海域の水塊構造(水温・塩分・DOの鉛直分布),底層水の水質(リン酸・アンモニア態窒素・酸化還元電位・鉄・硫化物)を測定した.これらの調査より,チャンバー内のDO濃度が減少する過程において,底質の酸素消費フラックスは底質直上の酸素濃度に依存する形態とそうでない形態を有していることが明らかとなった.また,酸素供給により底質の直上水中のDO濃度が高い領域でDO濃度に依存する形態が支配的となることが明らかとなった.季節的な変化に関しては,底層が貧酸素化している季節はDO濃度に依存する酸素消費の影響が大きくなり,底層の貧酸素化か解消した季節はその影響がほとんどみられなくなった.このとき,酸化還元電位との関係から,DO濃度に依存する形態は化学的な酸素消費であると考えられた.さらに,酸素消費フラックスから求められる酸素消費速度は,全調査期間において底質直上のDO濃度と反比例の傾向を示していた.両者の関係から,DO濃度と酸素消費速度の関係を回帰的に定式化し酸素消費特性をモデル化しか.このように底質直上のDO濃度から求めることのできる底質モデルによって,海域の貧酸素化の改善効果を正確に予測することが可能となる.
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