ポリ塩化ビフェニル(PCBs)の酸化に伴う水酸化PCBsの生成に関する研究
Project/Area Number |
07J13026
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Risk sciences of radiation/Chemicals
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
野見山 桂 Prefectural University of Kumamoto, 大学院・環境共生研究科, (特別研究員DC2)
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Project Period (FY) |
2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | PCBs / TiO_2 / フロンティア電子軌道法 / OH-PCBs / Kanechlor / 内分泌攪乱性 / 酸化分解 / 電子密度 |
Research Abstract |
本研究の主な目的はPCBsの一般的な酸化分解過程を明らかにするため、酸化チタン光触媒(TiO_2)を使用したPCBsの酸化分解を行い、OHラジカルを介した水酸化PCBs(OH-PCBs)の生成機構の解明と、生成物であるOH-PCBsの化学構造と内分泌攪乱性の関連性を明らかにすることである。 19年度は、ヒト及び野生生物の生態で汚染レベルの高いPCBs(CB118,138,153)を、高活性のTiO_2反応装置を用いて酸化分解を行い、生成するOH-PCBsの構造を明らかにした。MOPAC2002を用いたフロンティア電子軌道法による前駆PCBsの電子密度分布等の各電子パラメーターの計算結果、およびOH-PCBsの標準品を用いて、CB118より3種類、CB138より4種類、CB153より3種類のOH-PCBsの生成を確認しその化学構造を同定した。これら同定されたOH-PCBsは、4-OH-PCBsおよび3-OH-PCBsであり、かつ水酸基の隣り合う位置に塩素原子を持つ構造が生成しやすいことが明らかとなった。これまでに総計で18種類のPCBsに対しTiO_2による酸化分解を行い、生成するOH-PCBsの化学構造を解明してきた。その結果、生成するOH-PCBsはメタ位とパラ位の水酸化に伴う3-OH-PCBsおよび4-OH-PCBsであり、オルト位の酸化に伴う2-OH-PCBsの生成は確認されなかった。また生成したOH-PCBsの多くが、前駆PCBsの化学構造上でフロンティア電子密度が高い位置の水酸化に伴う構造であった。そこで、PCBs異性体においてKanechlor(KC300、KC400、KC500、KC600)中で存在量が高く、さらにはヒトへの残留性が強い構造を選択し、フロンティア電子軌道の計算から生成されるOH-PCBsの予測を行った。OH-PCBsの生成予測では54種類のPCBsより151種類のOH-PCBsの生成が予測され、半数以上が標準物質として存在しないOH-PCBsであった。生成が予測されたOH-PCBsの中で、複数の前駆体PCBsを起源とすることが予想されるOH-PCBsは30種類存在し、4-OH-CB107、4-OH-CB146、4-OH-CB187のように、ヒト生体内で比較的高濃度に残留する複数のPCBs異性体を起源となるOH-PCBsも複数存在していることが明らかとなった。これらの研究成果により、日本水環境学会・博士研究奨励賞(オルガノ賞)を受賞した。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)