Research Abstract |
リサイクリングエンドソームを介する輸送に関与するRabllと、エンドサイトーシスやアクチン細胞骨格のリモデリングなどのように細胞膜付近で機能するARF6の両方と相互作用するタンパク質FIP3とFIP4は、小胞輸送を調節する上で極めて重要な役割を果たすが、その生理的機能はほとんど不明である。本研究は、2種類の低分子量GTPase(Rab11とARF6)と共役するFIP3とFIP4の機能を分子レベルで解析し、細胞内輸送における役割を解明することを目的としている。 本年度は、以下の実験を行い、現在までに興味深い観察結果を得ている。今後はさらに詳細に解析を行い、分子レベルでの機能解明に至ることを期待している。 1.ARF.Rabllのドミナント・ネガティブ変異体によるFIP3.FIP4の細胞内局在の変化 FIP3または4の発現によりRabllの局在が安定化されて共局在することがわかった。また、Rabllのドミナント・ネガティブ体の発現によりFIP3の局在が大きく変化することも認められた。 2.FIP3およびFIP4特異的抗体の作製 FIP3およびFIP4とGSTとの融合タンパク質を大腸菌で作製し、それらを抗原としてウサギに免疫し、血清を回収し、特異抗体を得た。ウェスタンブロッティングでは有用であったが、免疫染色には反応しなかったので、現在、抗原箇所を変えて再度作製を試みている。 3.RNAi法によるFIP3とFIP4のノックダウン ノックダウンの至適条件を確認することができた。 4.Yeast Two Hybrid法による結合蛋白質の検索 Yeast two hybrid法を用いたFIP3およびFIP4結合タンパク質としていくつかの有力な候補を得た。GST-Pulldownn法等を用いて結合の確認をしている。また、結合領域を絞るための欠損変異体を作製し始めている。 5.細胞質分裂時におけるFIP3およびFIP4の局在 EGFP-FIP3,EGFP-FIP4などを発現させたHeLa細胞を用いて、細胞質分裂時におけるFIP3,FIP4の挙動をタイムラプス・イメージングで観察している。FIP3,FIP4は分裂時には2つの細胞の中心体付近に一旦局在し、その後細胞間の橋上構造に局在することが観察された。今後は、分裂時のRabllやARF6の局在、FIP3,4の挙動との関連や、各種変異体やRNAiによる挙動変化の観察をする予定である。
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