Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
脳動脈瘤の形成(発生・成長)や破裂において,血流による血管璧への力学的刺激・負荷(血行力学)が重要な役割を果たしていることが知られている.本年度は特に,脳動脈瘤の発生箇所の予測に有用な血行力学的指標を見出すことを目的として研究を遂行した. 脳動脈瘤の発生に関わる力学的要因として,血流が壁に及ぼす力学的負荷の"大きさ"および"方向"の時間変動に着目した.すなわち,それらの時間変動が激しい場所ほど脳動脈にはより大きな負荷がかかることになり,結果,瘤の発生に至りやすいのではないか,との考えである.血管璧への力学的負荷を表す量の一つとして,血流による壁せん断応力の空間勾配(spatial wall shear stress gradient;SWSSG)が挙げられることから,本研究では,SWSSGの時間変動の評価式を独自に定式化した.その検証のために,(a)実際に脳動脈瘤を発症した患者(内頸動脈湾曲部に瘤を有する)の医用画像から再構築した,3次元実血管形状の数値データの提供を受け,(b)独自の手法により,計算機上で瘤を人為的に取り除いた後,瘤発生前の血管形状を力学的解析に基づいて再現し,(c)当該形状に対して,リアリスティックな拍動条件下で血流シミュレーションを行った上で,(d)上述の時間変動量の分布を計算により求めて瘤発生箇所との相関を調べた.その結果,本研究で定式化した新しい血行力学量は,瘤発生箇所において有意に高い値を示した.この結果は,当該量が脳動脈瘤の発生箇所の予測に有用な血行力学的指標になり得る可能性を示唆するものである.以上の成果は,Journal of Biomechanics誌において発表済みである.
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