Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
希土類化合物DyAgおよびDyCuの基底状態に磁場を印加すると,磁気構造相転移にともなう異方的な多段階メタ磁性を示す.この複雑な多段階メタ磁性に交換相互作用および四極子相互作用が重要な役割を果たしていると示唆されているが,いまだ定量的な説明はなされていない.本研究では,DyAgおよびDyCuを相補的に扱い,両化合物のメタ磁性に及ぼす交換相互作用と四極子相互作用の影響について定量的に解析した.以下に本研究によって得られた知見を示す.(1)DyAgおよびDy_xY_<1-x>Agの比熱測定を通して,4f電子のエントロピー解析を行った.その結果,結晶場基底がΓ_8であり,Dy^<3+>が磁気モーメントJ_x,J_y,J_zおよび四極子モーメント<O_2>^0,<O_2>^2,O_<yz>,O_<zx>,O_<xy>を有することを示した.(2)DyCuの弾性定数測定を行い,C_<44>は常磁性相において温度低下にともない軟化現象を示す一方,C'=(C_<11>-C_<12>)/2は単調に硬化することを確認した.この結果から,O_<yz>,O_<zx>,O_<xy>間に四極子相互作用が働くことを示した.(3)上記(1)および(2)の結果をもとに,交換相互作用,四極子相互作用およびZeemanエネルギーを考慮し,DyCuおよびDyAgのメタ磁性の解析を行った.その結果,両化合物のメタ磁性を交換相互作用,四極子相互作用およびZeemanエネルギーによって定量的に説明できることを示した.また,解析の際に得られた交換相互作用係数J(0)と四極子相互作用係数K(0)は,DyCuではJ(0)S^2/k_B=-40.2K,K(0)Q^2/k_B=-17.4K,DyAgではJ(0)S^2/k_B=-41.4K,K(0)Q^2/k_B=-20.4Kであった.J(0)は過去の報告とよく一致しており,また,K(0)は負の値であり,反強四極子型の四極子相互作用が働いていることを初めて定量的に示した.
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