1.西亀山地区の宿親・宿子制について、『明治初年亀山風俗』の中で、「宿子の目的は、善良な家庭の教化訓育を受け、立派な人間とするにあった。だから、村内でも人格者を選び、その宿子として子弟を預けたのである。従って、若者の礼儀等は実に正しく若者の座で勿論他人の家にいる場合でも、目の上の人、又は、年長者の上位に座するなぞと言う事は、決して無かった。宿へ出入りする時は、一々膝まづき時の挨拶をして出入りしたものである。」と述べられている。 2.「生ける法」は、単なる観念上の存在ではなく、『人間の社会行動を現実に決定する規範』であり、また、『生ける法』の法的性格は、支配・服従関係を体現する限りでの非公式の社会統制であること。 宝暦十四年(一七六四)の高木村の『若者組合帳』には、「組合掟事」とあって、十二か条の厳守事項が定められている。掟書には他人に向かい、けんか・口論はいうに及ばず過ぎたことばをいってはならないとか、親子兄弟の不和となることをしてはならないとか、若者の寄合いにおいて、いろいろな言動を吟味するが、欠席は許さないなどのことが書かれている。若者組の参集するとき、訳あって出席できないときは組親の了解を受けておかなくてはならないともある。これは、まさしく、「人間の社会行動を現実に決定する規範」なのであり、で支配服従関係を体現する限りでの非公式の社会統制である。すなわち、「生ける法」である。 3.「若者組」は、伝統的文化に基礎づけられた独自のシステム特性が見出される。すなわち、若者集団の内部秩序は、「年輩序列」の原理により、厳しく統制されている。 4.「日本型システム」の特性、(1)日本型システムの人間的基盤は、「関係体」としての「間人」という新たな人間モデルに求められる。(2)「間人主義」の価値観は、「相互依存主義」、「相互信頼主義」、「対人関係の本質視」である。(3)日本社会の伝統的な基層をなす社会システムは、「間人」と呼ぶことが適切である「関係体」を成員とし、彼らに全面的な帰属と生活の場を提供する、高度に自律的・自立的な組織である。 5.「間人主義」の価値観が、「若者組」のシステム特性と、どのように関わるのか? このことについて、今後、分析・検討しなければならない。
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