Project/Area Number |
08630049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
経済政策(含経済事情)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 忍 香川大学, 経済学部, 助教授 (30170749)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 労働力輸出 / 渡航チャンネル / エンタテナ- / フィリピン / 専門職種 |
Research Abstract |
中東における建設ブームが生み出した海外雇用の機会は、資産形成の点でも、職業上の地位においても、魅力的な選択肢であり、国内における労働力利用率が3人に2人と低いフィリピンにとって、いわば千載一遇のチャンスであった。有力な後盾に恵まれた渡航チャンネルをもつ者のみが、この機会を享受しえた。 1980年にはじまるフィリピン国内の経済危機は、海外雇用による外貨獲得を国際収支の救済策として浮上させた。すなわち、労働力輸出の開始である。1982年におけるフィリピン海外雇用庁創設は、その制度的な表現である。労働力輸出の本格化は、海外雇用の魅力が低下する過程でもあった。海外雇用は、生活維持のためのきわめて現実的な選択として一般化したのである。賃金水準は低下し、雇用期間は短縮した。73年時点で13万人にすぎなかった海外渡航者は、83年には40万人、91年には63万人へと雪だるま式に膨らんだ。渡航チャンネルをもたない者は、不正規のルートを開拓した。中東以外の渡航先として東、東南アジアの比重が高まった。同時に、海外雇用の女性化が進展した。海外雇用は、いまや2つのタイプに分極化している。船員、看護婦等の専門職種は、賃金水準や斡旋経費の負担といった点で、いまなお魅力を保持している。渡航者のおよそ3人に一人がこのタイプに属する。労働力輸出によって生み出された新型職種として、エンタテナ-やメイドといった不安定職種がある。渡航者の3人に一人を占めるまでになっている。不安定職種の危険性は、労働者保護への政策的な取り組みの緊要性をフィリピン政府に痛感させた。 労働力輸出は、フィリピン経済の危機によって本格化し、海外雇用の変質と分極化とをもたらしたのである。
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Report
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Research Products
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