血栓および血管肥厚形成における細胞接着分子の役割解明と薬物療法の確立
Project/Area Number |
08672613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
応用薬理学・医療系薬学
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
滝口 祥令 徳島大学, 薬学部, 助教授 (40163349)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 細胞接着 / von Willebrand factor / glycoprotein Ib / 血小板粘着 / 血栓形成 / 血管平滑筋増殖 / 血管内膜肥厚 |
Research Abstract |
細胞接着は細胞接着分子と細胞膜受容体との結合による。この結合を阻害することにより、接着を抑制し、その後の生体反応を抑制することが可能である。血栓症は、血小板の内皮下組織への粘着に始まる種々血球成分の粘着と凝集という細胞接着現象を基盤として成り立っている。本研究では、血栓形成および血管肥厚形成における細胞接着分子の関与と、接着分子をtargetにした薬物治療法の可能性を明らかにする目的で、血小板粘着に関与する接着分子von Willebrand因子(vWF)の阻害による抗血栓・抗血管肥厚効果について、大腿動脈血栓症モデルを用いてラット及びモルモットで検討した。本モデルの特徴は、血管障害が内皮に限定されているタイプIIに分類される血管障害モデルで、閉塞性血栓を作成し、血栓溶解後、障害部位の血管肥厚を検討することができる。接着分子vWFと血小板膜受容体glycoprotein Ib(GPIb)との結合を阻害するaurintricarboxylic acid(ATA)は、ラットにおける血栓形成を著明に抑制したが、モルモットでは抑制はみられなかった。Ex vitro血小板粘着と凝集に対するATAの抑制作用は両種で同程度みられたことから、in vivoにおけるvWF-GPIbの血栓形成への関与が両者で異なることが示唆され、その一因として障害部位における局所血管収縮によるshere stressの違いやATAの持つ抗thrombin作用の両種における効果の違いが考えられた。血管障害3週後にみられる血管肥厚についても、ラットでATAによる抑制がみられた。ATAは細胞培養系においてFCS刺激によるラット血管平滑筋細胞増殖を抑制した。したがって、ATAの血管肥厚抑制作用は血小板粘着作用に加えて、thrombinを介する細胞増殖抑制、あるいは平滑筋細胞に対する直接的抑制作用による可能性が示唆された。vWF阻害薬のATAが抗血栓・抗血管肥厚作用を有することがラットで認められたことから、ATAを母化合物とするvWF阻害薬に血栓症治療薬としての有効性が期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
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