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A・トロロップの小説における技法の問題について

Research Project

Project/Area Number 08710331
Research Category

Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)

Allocation TypeSingle-year Grants
Research Field 英語・英米文学
Research InstitutionAichi Prefectural University

Principal Investigator

榎本 洋  愛知県立大学, 文学部, 助教授 (00232968)

Project Period (FY) 1996
Project Status Completed (Fiscal Year 1996)
Budget Amount *help
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Keywordsバ-セットシャー物語集 / 『自伝』 / テーマ的統一性
Research Abstract

今年度の研究は、主にトロロップの『自伝』を内容の検討することで、トロロップが小説を書くという執筆行為をどのように捉えているかを検討した。そこから明らかになったことは、50冊もの小説を書いたトロロップにとって、執筆行為は特別な才能を要するものではなく、勤勉な労働の積み重ねにすぎない、というある意味では極めて非ロマン派的な芸術観である。しかし、このような芸術観はなにもトロロップ特有の考えではなく、彼と同時代の作家にも程度の差はあれ共通するものである。こうした考えが19世紀の末になると、ジャーナリズムの隆盛とともに「文学の商品化」という極端な事態を生じることになる。当時の作家、出版社、読者のありかたを示唆するのが、ジョージ・ギッシングの『新三文文士街』である。ここではディッケンズ、トロロップ等のヴィクトリア朝作家によって示された勤勉な「労働」の当然の帰結としての文学のありようが、大衆の好奇心に訴える軽文学とヘンリィー・ジェイムズ等の芸術的な文学のいびつな対立を思わせる人物配置を通して示されるのである。以上の内容は、『英文学にみる出版』(1997年11月20日発行予定。京都、晃洋書房。但し仮題)の中で「アントニ-・トロロップの執筆行為」と題して発表した内容である。
しかし、トロロップの『自伝』は一方では様々な見方のできるテクストでもある。確かに『自伝』で主張されるように文学に向き合う姿勢を説いた指南書と読める要因もある。しかし、それ以上に大切なことは、トロロップが絵画とのアナロジーで小説の芸術的な統一を主張していることである。通常『自伝』で主張されているのが、「登場人物」のありかたであるだけにトロロップがどのようなことを意図していたか大変興味深いところである。今後の課題は、トロロップのバ-セットシャー物語集の統一性をテーマ、技巧(場面の反復など)を通して研究するのが目標であり、いずれ成果を一冊の研究書としてまとめる予定である。

Report

(1 results)
  • 1996 Annual Research Report
  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Publications (1 results)

  • [Publications] 榎本 洋(他共): "イギリス文学に見る出版" 晃洋書房(京都)(11月20日予定), 300 (1997)

    • Related Report
      1996 Annual Research Report

URL: 

Published: 1996-04-01   Modified: 2016-04-21  

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