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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
量子力学によって記述される通信システム(たとえば光通信システム)を考える際には,情報・通信理論も量子力学に基づいて定式化しなおすことが必須である.本研究では,情報理論の元来の精神に立ち戻り,操作的意味づけをもつ通信路容量こそが量子通信路において第一義的な量であるという立場に立脚し,拡大ヒルベルト空間上での統計的漸近論により定式化される無記憶通信路の操作的容量Cの基本的性質を論じた.特に,Cの下限C1(長さ1の信号に対する容量)および上限C2(ホレボの情報限界から導かれる擬容量)の数学的性質を介して得られるCに関する知見を重点的に研究した. まず,拡大ヒルベルト空間上での信号の受信方法として,テンソル積型で表される一般化測定に制限した場合には,たとえ送信者への観測結果のフィードバックを許容したとしても,通信路容量は下限C1を超えない(すなわちC1に一致する)ことを明らかにした.この結果は,Cの数学的性質を論ずる上で,拡大ヒルベルト空間上の一般化測定を考える必然性を明らかにするものである. 次に,日合-ペッツの定理の観点から上限C2を考察し,漸近論的観点からすると,古典論に対する量子論の困難の原因が,量子状態のクローニングが物理的に禁止されている点にあるとも解釈できることを明らかにした. さらに,C1=C2を満たす通信路として半古典的通信路という概念を導入し,その性質を詳細に論じた.半古典的通信路に対しては容量Cが陽にシングルレタライズできるため,このクラスは重要である.まず.凸解析の手法により量子通信路が半古典的となるための必要十分条件を導いた.次に,この結果を2準位量子系に対する通信路に適用し,像空間の幾何学的性質と関連づけて2準位通信路の完全な分類を行った.
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