アルカリハライド結晶における酸素分子の超放射の研究
Project/Area Number |
08740241
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芦田 昌明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60240818)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 超放射 / 酸素分子 / アルカリハライド / レーザー / 自然放射増幅光 |
Research Abstract |
アルカリハライド単結晶に直接、超酸化物(KO_2,Na_2O_2)の融液を作用させて酸素分子を導入するという、新たに開発した方法を用いて試料を作製した。これにより、従来の方法に比べて高濃度かつ高純度の試料が得られ、超放射を安定して観測することができるようになった。さらに、時間確度±100ps,スペクトル分解能0.1A以下で超放射パルスを1ショット毎に記録することができる測定系を構築した。この様な実験条件の向上に基づき、以下の結果を得た。 KClの他、KBr,NaClを母体結晶とする試料においても2Kにおいて超放射を観測し、超放射の起こる発光線が通常励起下で強度大、即ち遷移確率の大きい発光線と必ずしも一致せず、低エネルギー側にずれている傾向があることがわかった。さらに、2〜80Kの温度領域において強励起下で指向性をもった強い発光を観測した。特に、KBr:O_2^-においては、温度上昇と共に発光増大を起こす線が交代することを見いだした。さらに、時間応答、高分解能分光測定から、強い発光線の交代は超放射から自然放射増幅光への移行に対応していることがわかった。これは温度上昇と共に位相緩和時間が短くなり、マクロな遷移双極子が形成される以前にコヒーレンスが失われてしまうためである。この変化に発光線の交代が伴うことから、発光の終状態である電子基底状態における振動準位の位相緩和時間が準位毎に異っていることが示唆される。また、このことが超放射の生じる発光線が遷移確率の大きいものと一致しないことの一因になっていると考えられる。その手掛かりを得るため、通常励起下での発光線のスペクトル幅を測定したところ、KBr:O_2^-においては他の系よりも著しい傾向があり、高振動準位ほど線幅が小さいという結果を得た。これは上の考察を裏付けるものであるが、今後、非線形分光を用いて各振動準位の位相緩和時間の直接測定を行い、超放射発現と位相緩和の関係を確かめる必要がある。その予備的な実験として励起状態における振動緩和時間の測定を開始したところである。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)