Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
酸化物高温超伝導の機構解明を目指すとき,常伝導相での電子状態の理解が必要である.その電子状態は特異な2次元性で特徴づけられ、c軸方向の伝導に顕著に反映される.すなわち,c軸方向の伝導が金属的か非金属的かを理解することは,高温超伝導体の2次元性が“単に異方性が大きい"だけなのか“本質的に伝導機構が2次元"であるのかを明らかにすることである.この問題を明らかにするため,典型的高温超伝導体のひとつLa_<2-X>Sr_XCuO_4で,c軸方向の伝導における不純物散乱の効果を調べた.ここで散乱体として,乱れの効果が小さく,再現性の点に優れた,酸素欠損効果を導入した. 超伝導転移温度の最も高い組成では,酸素欠損の導入に伴い,c軸方向の電気抵抗率は全温度範囲で減少する.これはC軸伝導が金属的伝導でないことを示すが,単純な半導体のモデルでも説明できない.そこで,我々はこの現象を“c軸(CuO_2面間方向)の伝導は,電荷とスピンに分離しCuO_2面内に閉じこめられたキャリアーが,不純物の散乱により再結合し面間を飛び移ることで起こる"というモデルで説明した.さらに“アンダードープではこの抵抗率の減少は大きく,オーバードープ領域では小さくなる.すなわち,電荷の面内閉じ込めの効果はド-ピングと伴に小さくなる"ことを示した.すなわち,高温超伝導の伝導は,アンダードープ領域では伝導機構が異なる2次元金属的だが,オーバードープ領域では異方的な3次元金属的であり,最適組成ではアンダードープの特徴を強く示すことがわかった.
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