傍腫瘍性症候群で出現するHu、Yo抗体の神経細胞発達・分化に対する阻害性の検討
Project/Area Number |
08770465
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurology
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
金子 厚 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00224593)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 腫瘍性神経症候群 / 抗神経細胞抗体 / 抗Hu抗体 / 細胞毒性 / 初代神経細胞培養 |
Research Abstract |
傍腫瘍性症候群で出現するHu、Yo抗体の神経細胞発達・分化に対する阻害性を検討するために、今回はラット胎仔の大脳皮質由来神経細胞を抗Hu抗体存在下に培養し、神経細胞の突起伸展と生存に対する影響およびHu抗原の機能を探るために免疫電子顕微鏡レベルで免疫反応を用いて抗原の局在を調べた。 [方法](1)神経細胞の初代培養;妊娠17日目のSDラットより胎仔を取り出してEagle's MEM培養液中にて大脳皮質を取り出した。トリプシンにて30分間酵素消化、血清添加培養液で中和後、ステンレスメッシュを通して細胞を分散させた。細胞数をカウントしてから3×10^4cells/wellで8 wellのチャンバースライド(Nunc)に蒔き3日間培養した。 (2)抗Hu抗体の神経毒性の検討;上記神経細胞培養系に抗Hu抗体を補体添加あるいは無添加の条件で正常ヒトIgGをコントロールとして、添加2日目での生細胞数をトリパンブルー染色法にて検討した。また神経細胞の形態を抗NF(ニューロフィラメント)、抗NSE(神経細胞特異的エノラーゼ)あるいは抗MAP2(微小管結合蛋白質2)抗体を用いて免疫細胞化学的に染色して対照と比較検討した。 (3)Hu抗原の免疫電子顕微鏡による神経細胞内局在;抗原の局在を明らかにするために培養した神経細胞を常法にて固定、超薄切後、抗Hu抗体で染色してから金コロイド結合ヤギ抗ヒトIgGと反応させ、電子顕微鏡にて観察した。 (3)[結果と考察]初代培養神経細胞が形態的に成熟な突起の発達および分化を遂げる過程である培養3日目にて抗Hu抗体の影響を調べた。その結果、神経細胞の生存率は補体の添加の有無に関係なく統計学的には有為な変化は見られなかった。しかしながら、神経細胞の抗NF、抗NSEあるいは抗MAP2を用いた形態学的観察から昨年報告した研究結果(奨励研究課題番号07770462)のように、抗Hu抗体添加の培養系では神経突起の成長が阻害されている傾向が見られた。また抗Hu抗体を用いた神経細胞の免疫電顕の結果、細胞核内では抗Hu抗原はヘテロクロマチンに結合して存在することが示唆された。このことはHu抗原がRNAのスプライシングに関係するRNA結合蛋白質であるという証拠に加えて、核内では別な機能をしている可能性が示唆された。すなわち、抗Hu抗体が核内になんらかの形で侵入した場合、抗Hu抗体がHu抗原が抑制している遺伝子を発現させる可能性が示唆され、それによって神経細胞がアポトーシスを起こすことも考えられる。この変化は時間を要すると思われるので、さらに長期間の神経細胞の培養系を使った実験が必要と思われれる。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)