Research Abstract |
強皮症の病変皮膚における肥満細胞のフェノタイプ(結合組織型肥満細胞,MCTC/粘膜型肥満細胞,MCT),脱顆粒の有無を調べる目的で,22人の全身性強皮症(systemic sclerosis,SSc),11人の限局性強皮症(localized sclroderma,LSc)の生検皮膚をカルノア固定し抗トリプテ-ス,抗カイメ-ス抗体で免疫染色した.間質性浮腫と様々な程度の膠原線維の膨化がみられる"浮腫性硬化期"において肥満細胞密度は,全体では正常より増加していた(P<0.05)が,個々の症例によりばらつきがおおきかった.膠原線維が真皮全層で膨化均質化している"硬化期"の病変においては肥満細胞の密度は一様に減少していた(P<0.005).LScでも同様の傾向が認められた.正常皮膚における肥満細胞はMCTCタイプがその多くを占めるのに対し,強皮症においてはMCTC対MCT比は症例により様々であり,SSc3例,LSc2例では全肥満細胞がMCTタイプであった.浮腫の強い症例で全肥満細胞はMCTタイプであり,その密度は高く,脱顆粒も認められた.今回の検討で肥満細胞の密度,フェノタイプの変化を観察した.フェノタイプと組織学的変化との間にどのような関連があるのか,今回の検討では十分に明らかにすることはできなかったが,硬化の強い例では肥満細胞は減少し,浮腫の強い例では増加していることを明らかにした.
|