糖尿病における熱ショック蛋白質の発現とその分子機構に関する研究
Project/Area Number |
08770806
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
内分泌・代謝学
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藪中 宗之 北海道大学, 医学部, 助手 (70240637)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | HSP70 / Diabetes mellitus / heat-shock proteins / oxidative stress / NIDDM / Western blotting |
Research Abstract |
本研究の目的は、糖尿病における熱ショック蛋白質の発現状態を、健常コントロールと比較し検討することである。熱ショック蛋白質の中でも発現量が多く代表的HSPであるHSP70に着目して研究を行った。研究計画に従い、研究時期を前期と後期に分けた。前期においては、インスリン非依存型糖尿病患者(NIDDM)並びに健常者(C)から採血分離した単核球におけるHSP70の発現を調べるため、HSP70に対するモノクローナル抗体を用いウエスタンブロッティングを行った。予め定量された精製HSP70をコントロールとしデンシトメトリーにて定量化した。HSP70の蛋白発現はC群に比べNIDDM群で有意に増加していた(0.78±0.26 vs 0.41±0.25 ; p<0.05)。逆転写PCRによってHSP70のmRNAレベルの発現を検討した結果、NIDDMにおける単核球HSP70の増加はmRNAの増加によるものと判明した。分離白血球の培養でのHSP70の発現は、低血糖状態(5.5mM)に比べ、高血糖(16.7mM)に高い傾向を示したが有意ではなかった。後期においては、主に糖尿病コントロール、合併症の状態等とHSP70との関係を調べた。糖尿病コントロール状態との関係では、ヘモグロビンAlc、空腹時血糖値(FPG)、食後2時間血糖値のそれぞれとHSP70との相関はいずれも見られなかった。糖尿病性合併症については、網膜症、腎症、神経障害の有無さらにそれぞれのstage別に検討した。合併症の有無とHSP70との相関は見られず、それぞれの合併症のstage別検討においても相関は見られなかった。罹病期間、性、body mass indexとの相関は見られなかったが、年齢とHSP70の間に有意の負の相関を認めた(r=-0.658 ; p<0.05)。健常者の検討で、strenuous exerciseにおいて単核球HSP70の発現と赤血球還元型グルタチオン値が負の相関をすることが分かっており、NIDDMにおけるHSP70の高発現は、高血糖や合併症に関連するものではなく、むしろNIDDMにおける酸化ストレスの増加を反映している可能性が高い。年齢とHSP70が負の相関を示したことは、培養細胞レベルで分裂寿命とHSP70の負の相関が報告されており興味深い結果である。今後は、NIDDMにおいて個々の酸化ストレスの指標とHSP70との関係について検討すると共に、HSP70とAgingの関係についても検討を加える。また、多検体の処理のためELISAの開発を進めている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)