Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
冠動脈バイパス術に用いるグラフト片としてCryopreservationにより保存した動脈ホモグラフトの有用性を検討した。 第一段階として末梢動脈モデルにおける小動脈ホモグラフトの有用性について検討した。ドナー犬より末梢動脈(大腿動脈から前脛骨動脈,上腕動脈から橈骨動脈及び尺骨動脈各2本)を採取し1.4モルグリセリン処理後にコンピュータープログラミングフリーザを用いて-70℃まで凍結し液体窒素タンク内で保存した。解凍は20℃の水浴後に4℃生理食塩水内で洗浄した。4本のグラフトの保存期間を1週間から4週間までの4段階にわけ解凍後末梢動脈を吻合した。nativeの動脈を吻合部間で結紮した。各グラフト長は約5cmとして計12本のグラフトについて,吻合後4週間後に血流を確認した。12本のグラフトのうち開存していたのは合計5本であり,保存期間別でみると1週間が2本,2週間が2本,3週間が1本,4週間が0本であった。開存していた5本も吻合部及びグラフト内に狭窄が認められた。グラフト片の組織学的変化を確認してみると,全体的に内膜組織の解離がみられ,保存期間が長いほどその傾向が強くみられた。閉塞の原因は内膜の解離による内腔の狭窄の可能性が強く示唆された。次に,グラフト片の長さを2cmから10cmまで2cm間隔で各2本ずつ用意し保存期間を1週間とし同様の方法でバイパス術を行った。6cm以上のグラフト片は全て閉塞しており,2cm,4cmで各1本ずつが開存したのみであった。組織像はやはり内膜の解離であった。これまでの実験結果より小動脈グラフトは保存期間,グラフト片長に限界があり,これらの改善が認められなければ冠動脈バイパス術にはまだ対応できないと判断した。
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