透析アミカイドーシスにおける骨嚢腫の発生と炎症性サイトカインの影響に関する研究
Project/Area Number |
08771161
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Orthopaedic surgery
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
井上 剛 関西医科大学, 医学部, 助手 (30268338)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 透析 / サイトカイン / アミロイド |
Research Abstract |
【研究実績の概要】 透析関節症における骨破壊性変化の発生機序を解明することを目的として研究を行った。今回我々が行えた研究内容は、骨破壊性変化が発生する反応経路のうち、アミロイド沈着が滑膜炎を生じさせる過程において、最も関与しているサイトカインと病理組織所見および臨床症状の関連性についての知見である。対象は透析肩関節症13例14肩である。透析患者の肩関節に超音波検査を施行し、肩峰下腔の状態について調査した。臨床症状はpain scoreを作成して評価した。免疫組織染色はLASB法を用いて滑膜にβ2M、CD68染色行い、炎症性サイトカインの発現量はRT-PCR法を用いて同一滑膜におけるIL-6、IL-1β、TNF-αのm-RNAをゲル電気泳動法で測定した。 透析患者の肩峰下腔の厚みは健常人に比して増大していた。アミロイドが高度に沈着している症例ほど、肩峰下腔も増幅している傾向があり、透析期間も長期に及ぶ症例が多く認められた。IL-6の発現は透析患者14肩中全例に、IL-1βは13例に、TNF-αは11例に認められた。肩関節痛が高度の症例ほど、IL-1βは強く発現していた。IL-6、TNF-αと臨床症状の間には関連性は認められなかった。 透析肩関節症の発生原理の一つに、肩峰下滑液包炎に基ずく肩峰下腔の増大が関与していることが考えられた。病理組織所見からはマクロファージ等の炎症細胞の浸潤に加え、炎症性サイトカインの発現の関与が考えられた。すなわち肩峰下滑液包の滑膜に沈着したアミロイドに遊走したマクロファージが、炎症性サイトカインを誘導し滑膜炎を生じさせる。IL-6、IL-1β、TNF-α等のような炎症性サイトカインがアミロイド性滑膜炎を増悪させて、肩峰下滑液包における滑膜増生を引き起こし、さらには破骨細胞に連動して骨破壊性変化が発生することが推測された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)