Research Abstract |
本研究のメインテーマは、糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術術後患者の他覚的な術後視力と自覚的な改善度の不一致を、Snellen視力とコントラスト感度との不一致に起因するものであるという推測から両者を比較検討することである。 本研究では、従来より使用されてきた簡易なCSF測定刺激ではなく、Gabor刺激を用いた新たな刺激提示および計測システムを開発することに成功した。 Gabor刺激は、Snellen視力では推測できない患者の自覚的な見えをより忠実に反映するものとして知られているが、モニタ上に提示し実際の診療現場で簡便に使用することは従来なされておらず画期的な成果であったと考える。 実際には、0.38,0.75,1.5,3.0,6.0,9.2cycles/degreeを中心空間周波数に持つ6種類の刺激を、平均輝度は200cd/m^2で提示し、0.007〜0.96の間でコントラストを変化させモニタ上に表示する制御プログラムを新たに開発し、上下法を用いた閾値測定および記録プログラムと連動させた。 糖尿病黄斑浮腫の診断で硝子体手術を施行された6例6眼について、術前および術後に本装置を用いたCSF測定を実施した。症例数が限られ、術後観察期間も短くデータとしては不十分であるが、典型的な症例を挙げると、術後、Snellen視力の改善に先行して低周波領域でのコントラスト感度の改善が認められたり、視力は改善しないものの高周波領域を除く各周波数領域での感度上昇を認める患者が存在した。 傾向のみならず統計学的な検討を加えるにあたっては、今後さらに症例数を増やし、計測を重ねる必要があり、継続的な研究検討が必要である。
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