Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
近年問題となっている電磁界の生体影響に対し,その機序解明の重要な指標である電界感知について基礎的研究を行った。研究内容は以下のとおりである。 1.異なる環境条件で体毛に働く電気力ならびにヒトの電界感知閾値を非接触的に測定する装置を開発した。 (1)体の一部を入れて計測を可能とする恒温恒湿装置を設計・製作した。 (2)人体の一部へ交流・直流両電界曝露を可能とする装置を設計,製作した。 2.交流または直流電界を曝露した際の感知閾値を,以下の条件下で計測した。 (1)異なる環境条件(温度,湿度)下におけるヒトの電界感知閾値の変化を実測により求めた。 (2)同一被験者,同一環境条件において体表条件(体毛の長さや密度)を変化させた場合の感知閾値を計測した。 (3)被験者に電界曝露の予備知識を与えた場合と与えない場合など計測時の心理条件を変化させた場合の感知閾値を計測した。 3.上記計測を多数の被験者に対して繰り返し,統計的に解析した。 以上の実験的研究により,次の研究成果が得られた。 交流電界の方が直流電界に比べ感知閾値が低下することが確かめられた。その中で男性より女性の方が閾値が低いということも明らかとなった。また体毛が長く,高密度になるほど閾値が低下するということが確認された。さらに電界感知の経験の有無や電界の体表刺激についての知識・情報の有無によっても,感知閾値が変化することが明らかとなった。しかし,これらの変化の幅は,相対湿度に伴う変化に比べ,はるかに小さいものであった。これらの成果は,電界の安全基準値を設定する際に重要となるだけではなく,これまで電界の生体影響が報告されるたびに問題となってきたデータの再現性やばらつきの問題に対し,新たな視点を与えるものと思われる。 これらの結果により,当初目的として揚げた交直両電界の生体刺激作用の解析は,ほぼ達成できたと考える。
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