Project/Area Number |
08871005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Religious studies
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
永見 勇 立教大学, 文学部, 教授 (30116636)
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Project Period (FY) |
1996 – 1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | ターミナル・ケア / 人間学 / 意識 / 現象 / 主体的価値 / 死 / 末期ガン / ハンセン病 / 特別養護老人ホーム / 老人問題と家族のケア / ホスピス / 福祉施設の問題 / ホスピスと老人問題は共同体の問題 / 国民規模でホスピス運動 / 人間の成長と終焉という人間学 |
Research Abstract |
ターミナル・ケアという言葉の意味は一般に末期ガン患者のケースのように、もはや回復の見込みのない生理的・肉体的情況に至った人の苦痛や不安を軽減し、平安な精神状況を与えるべく施される営みとして理解されてきた。本研究は従来のターミナルという言葉の意味をさらに広げ、肉体的にはそれほど問題はなくとも、もはや、自己自身、生きる望みがないとする精神状態に陥った状況もターミナルという言葉で理解し、その状況に対するケアの営みの人間学的意味づけを研究した。 ターミナル的情況に具体的に陥った例として三つのケースを取り上げた。 1)末期ガンのケースのように意識はしっかりしているが、自己の生命の生存は極めて限られていると自覚しているケース。 2)老いることで、いわゆるボケという現象に陥り、意識のレベルにおいて末期ガン患者とは多少異にした形で自己の生命の終焉を迎えるケース。 3)ハンセン病患者のように肉体的には未だ元気で生きていける人も、社会の価値構造の参入を完全に拒絶され、精神的に自分の人生は終わったという意識の中で生活するケース。 これら三つのケースを今回、研究対象とした。これら三つのケースに対するケアはそれぞれ共通している点とそうでない点があるが、個人の主体的価値を価値判断の基準に据えてきた啓蒙思想的潮流に対して根本的に問いを投げかける時期に来ているとの認識に至った。晩婚や結婚をしない人々が増える現在の社会状況の中で、人がターミナル状況に陥ったとき、単に家族というレベルだけでなく、社会全体でそのケアを考える必要が現れたことを今回の研究は示唆する。
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