Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本年度は,前年度から行っているトンネルダイオードを2個結合させた系における雑音誘起秩序の実験を引き続き行うと共に,ニューロンの数理モデルにおいて確率共鳴や雑音誘起秩序が生じるかについて研究を行った. 1.トンネルダイオードを2個結合させ,それぞれを周波数,振幅が異なる正弦波信号で駆動させると,ある周波数比と振幅でカオス状態が発生した.次にそれぞれに独立な白色雑音を重畳させ,その振幅を増していくと,カオス状態での乱れが小さくなっていき,ある値で乱れが無くなって周期状態へと転移した.更に雑音強度を増すと再び乱れが強くなっていき,雑音誘起秩序が観側された.カオスの秩序化の様子は実験データからリアプノフ指数(λ)を求めると,カオス状態で正値をとったが,秩序状態ではゼロとなったことからも強く支持される.また,同一データをもとに信号対雑音比(SNR)の雑音強度変化を求めると,λがゼロとなった強度の所でSNRが最大値となった.微少信号に雑音を重畳させ,雑音強度を増していくとある値でSNRが最大値をとるような現象は確率共鳴と呼ばれており,種々の系で見出されている.従って,本系における雑音誘起秩序は確率共鳴によって誘起されているということができる. 合原らによって提案されたニューロンの数理モデルを用いて確率共鳴と雑音誘起秩序の実験を行った.実験は,アナログ回路で実現した回路を用いたものと数値シミュレーションによるものとの2つの方法で行った.確率共鳴に関しては,両者において観測され,SNRの雑音依存性は定性的には良い一致を示した.雑音誘起秩序に関しては,2個のモデルニューロンを結合させたものを用いて現在進行中である.この場合,アナログ回路による方法は,クロックを一つに統一することが困難で,複数のクロックを必要とした.従って,モデル中に複数の異なった時間が入り込み,式の正確な実現ができないといった問題から用いることができなかった.
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