日本とシンガポールにおけるエリート教育の現状とゆくえ
Project/Area Number |
08F08015
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Sociology of education
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 由紀 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SIM Choon Kiat 東京大学, 大学院・教育学研究科, 外国人特別研究員
SIM C. 東京大学, 大学院・教育学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | エリート高校 / 日本の教育 / シンガポールの教育 / 教育 / エリート / シンガポール / 日本 |
Research Abstract |
本研究は、日本とシンガポールの教育制度における偏差値の高いトップクラスの名門校に焦点をしぼり、両国におけるエリート高校の現状と課題を分析し、そのあり方について比較検討することを目的とするものである。 本研究は、生徒を対象とした質問紙調査の結果をもとに、まず両国の名門校とも生徒の親学歴が平均以上に高く、家も経済的に豊かであることを例証する。さらに、生徒の社会貢献意識を喚起するにあたり、自由主義に任せる日本の名門校が暗黙的であるのに対して、育成主義に基づくシンガポールの場合は明示的であることも調査結果から明らかになる。ただ、日本では「自分はエリートだ」「国や社会のリーダーになりたい」と思う生徒の割合がともに約3割と低いものの、「A World-Class Institution of Leaders」というビジョンを掲げるシンガポールの対象校でもその割合が3~5割にとどまり、制度的にリーダーを育て上げることの限界も垣間見える。 一方、日本の場合では「自分はエリートだ」と思う生徒ほど「家は豊かである」または「国や社会のリーダーになりたい」確率が高いのに対し、シンガポールではそのような相関関係はみられない。ただ両国とも「将来社会の役に立つと思う」または「社会的弱者を助けたい」と思う生徒ほど「国や社会のリーダーになりたい」傾向が強く、育成主義のシンガポールではいわずもがなでも、自由主義に任せる日本のエリート教育もそれなりに機能していることが示される。 とはいえ、シンガポールでは「将来社会の役に立つと思う」「社会的弱者を助けたい」と思う生徒の割合がともに9割を超え、日本生徒の割合よりはるかに高いことはやはり育成主義の成果であると考えられる。 名門進学校に関する先行研究が乏しいなか、木研究の知見がエリート教育をめぐる議論に、あるいは日本の場合では議論が欠けているともいえる傾向に一石を投じることを願う。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)