Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Research Abstract |
半導体ナノ粒子上で進行する光触媒反応においては,キャリア(電子およびホール)が本質的な役割を果たす.しかし,粉体試料である半導体ナノ粒子中でキャリアが示す動力学(移動トラップ,再結合など)の詳細は未だ明らかではない.半導体ナノ粒子中に生成した電子の多くは波長0.9から1.5マイクロメートルの近赤外領域に特徴的な吸収帯を示す.本研究では,光照射によって生成した電子の動力学を,フェムト秒時間分解マルチチャンネル近赤外分光計を利用して実時間で追跡した.生成直後から全ての電子の生成や移動,トラップ,再結合などの過程を観測し,その結果を速度論的に解析することで,キャリア動力学の機構を解明した.本年度は,昨年度に本補助金によって購入した,摂氏100度から1150度での加熱が可能な電気炉を利用して,結晶型および粒径が異なるさまざまな二酸化チタンの試料を調整した.アナタースとルチルは二酸化チタンにおける2つの代表的な結晶型であるが,この両者が混在したときはそれぞれが単独に存在したときに比べて触媒活性が向上する「シナジー効果」が起こることが知られている.両者の構成比が異なる6種類の触媒試料を調整し,それぞれにおけるキャリア動力学をフェムト秒時間分解近赤外分光法で明らかにした.各試料の触媒活性は,メチレンブルーなどの色素の光照射時の退色によって評価した.さらに,励起光の波長や強度がキャリア動力学に与える影響について調べた.これらの実験結果をもとに,両結晶型が混在するときのシナジー効果は,約100fsの速度定数をもつルチルからアナタースへの高速電子移動に起因することを推定した.
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