Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Research Abstract |
幹細胞は有用な細胞源として再生医療への応用が期待されている.従来の分化誘導の多くは,液性因子の添加によるものであるが,新たな手法として固相培養面からの刺激による分化誘導が注目されている.申請者らは,D-グルコースを培養面に提示することで,細胞膜上のグルコーストランスポータとの親和性により,細胞形態制御が可能であることを示した.本申請課題では,幹細胞の培養における組織再構築過程の現象を解析し,培養組織を対象とした細胞分化制御の方法論構築を試みた. 平成21年度は,ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の形態制御を目的とし,培養面に固定化するデンドリマーの世代数を変化させ,さらに,内在性シグナリング誘発による分化誘導を検討した.グルコース提示型デンドリマー培養面上でヒト間葉系幹細胞を培養したところ,デンドリマー世代数の増加とともに,丸い形態を示す細胞の頻度が高くなり,世代数5(G5面)では,球状の集塊を形成することが分かった.特に,細胞骨格形成に関しては,G5面上において,ストレスファイバーの形成が阻害されることが確認された.また,足場形成タンパクについて着目すると,細胞全体でRhoAの発現が低下したのに対し,Raclの発現向上が確認された.培養7日目の細胞集塊では,desmin陽性だけではなく,心筋細胞マーカーcardiac troponinT陽性細胞が確認された.以上のことから,G5面ではRhoAの生成が抑制されるとともに,集塊形成が促進され,心筋への分化誘導が部分的に引き起こされていることが分った.以上より,デンドリマーの世代数を変化させた培養面においては,細胞骨格形成変化から細胞内シグナル伝達の制御が可能になり,筋系細胞への分化誘導が可能であることが示された.D-グルコース提示型培養面は,従来とは異なる細胞接着と細胞骨格形成メカニズムに基づく設計指針を与え,幹細胞の分化誘導基材として有効であることが明らかとなった.
|