新興感染症病原菌エロモナスの感染に伴う炎症誘導に必要な病原体・宿主因子の解明
Project/Area Number |
08F08458
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Bacteriology (including Mycology)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
鈴木 敏彦 University of the Ryukyus, 大学院・医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MCCOY A. J. 国立大学法人琉球大学, 大学院・医学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | エロモナス / 炎症 / カスパーゼ-1 |
Research Abstract |
病原細菌エロモナスは淡水域の常在菌であるが、近年新興感染症の原因菌として注目されている。本菌はヒトに下痢を惹起する以外に創傷感染を起こし皮膚や筋肉などの軟組織の壊死を引き起こすことが知られている。最近では、2004年のタイ南部を襲った大津波の際に創傷感染を起こし治療が必要となった305名の症例の中で、原因菌として本菌が最も多く検出された(22%)。また広範囲の軟部組織壊死を伴う急激な症状と予後不良な症例もまれに報告されている。しかしながら、菌の病原因子としてヘモリジンやコレラ毒素様の毒素が報告されている程度で発症のメカニズムはよくわかっていない。そこで、本研究では菌の感染と宿主炎症応答反応が病態形成に重要であると考え、その分子機構を明らかにすることを目的とした。特に感染防御の最前線で機能するマクロファージ等の抗原提示細胞への感染機構と炎症誘導機構に焦点を絞り、菌側および宿主側の関連因子を同定した。その結果、マクロファージに感染した後にカスパーゼ-1活性化を伴ったネクローシス様の炎症誘導性の細胞死、いわゆるパイロプトーシスを誘導することが示された。カスパーゼ-1活性化によりIL-1βおよびIL-18のプロセッシングと細胞外遊離が認められた。この炎症誘導には、本菌が分泌する3種類の細胞膜穿孔性毒素:エロリジン(Aer)、ヘモリジン(Hly)および細胞傷害性エンテロトキシン(Act)が関与することが、それぞれの単独、二重、三重欠損株の解析により明らかになった。一方で、この機構には宿主のNLRファミリーのNLRP3およびアダプター分子ASCが必須であることをそれぞれの遺伝子欠損マウス由来のマクロファージを用いることによって明らかにした。以上のことから、エロモナスの感染に伴う膜穿孔性毒素による攻撃によって宿主はNLRを介した炎症誘導機構を発動することが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)